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のぽねこミステリ館

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本の感想(た行の作家)

2020.05.30
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高田崇史『毒草師 白蛇の洗礼』

~講談社ノベルス、2011年~

 

 QEDシリーズに登場する御名形史紋さんが探偵役をつとめる「毒草師」シリーズ第2弾の長編作品です。

 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

 

―――

 茶道教授の次男が、茶室で変死した。毒殺されたようだったが、彼が死の直前に口にしたお茶は、濃茶のため、何人も同じ茶碗から飲んでいた。そして、死者は最後にお茶を飲んでいた。

 医療雑誌編集者の西田は、編集者からの命令でこの事件の取材にあたることとなった。まずは生徒として、関係者に近づいていくが、次第にお茶の稽古自体にも熱心になり、千利休についても勉強を進めるようになる。そんな中、西田も事件に巻き込まれていく。最初の事件の毒物が特定されない中、事件のあった茶会の関係者が次々と毒により死んでいくのだった。

―――

 

 連続毒殺事件と、千利休の歴史上の謎(武士ではないのになぜ切腹したのか、キリシタンだったのか、などなど)がテーマの一冊です。

 西田さんは毒草師シリーズ1作目にも登場していますが、一人称で進むパートはその語り口も楽しく、どんどん読み進めることができました。

2020.02.29読了)

 

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Last updated  2020.05.30 22:28:58
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2019.07.06

高田崇史『QED~ortus~白山の頻闇』
~講談社ノベルス、2017年~

 

 QEDシリーズ最新作です。2編の中編が収録されています。

 

 表題作「QED~ortus~白山の頻闇」では、棚旗奈々さんの妹、沙織さんを訪ねて、奈々さんと桑原崇さんが金沢を訪れます。

歴史上の謎は、白山信仰です。そこにまつられる、『日本書紀』に一行だけ現れ『古事記』には描かれもしない菊理媛(くくりひめ)神の正体と、『日本書紀』で彼女が何かを告げた、その意味とは。

事件は、沙織さんの夫の兄が、殺人事件の容疑者とされてしまいます。地元の名士が首を斬られ、遺体が流されていました。果たして、犯人の意図とは。

 

 併録された「QED~ortus~江戸の弥生闇」は、奈々さんが大学1年生の頃の話。彼女が有事に誘われ、オカルト研究会に入会することになります。少し前に出会っていた崇さんと、ここで再会を果たします。研究会のメンバーで、マンションで謎の死を遂げた女性の幽霊が出るという噂がある寺に行こうという話になりますが、崇さんは反対で。

 一方歴史上の謎は、その寺にまつわる、吉原の遊女たちについて。厳しい境遇にあった彼女たちが吉原を出る方法は、わずか3つだけでした。年季奉公を終えるか、身請けされるか、死後に寺に投げ込まれるか…。そんな中、わずかな期間で年季奉公を終え、境遇が不詳の遊女がいました。果たして、彼女はなぜわずかな期間で奉公を終えたとされたのか。

 

 以上が、簡単な概要です。表題作読了後、​『QED 出雲神伝説』​所収の短編「QED~flumen出雲大遷宮~」に目を通し、いろんなことがつながるとともに、泣けてきました。

 ​『QED 伊勢の曙光』​で本編は完結とされていますが、その後もこういった形でシリーズ続編が読めるのはとても嬉しいことです。さらなる続編が刊行されることを祈っています。

 

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Last updated  2019.07.06 22:14:43
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2019.06.01


髙田郁『花だより 
みをつくし料理帖 特別巻

~ハルキ文庫、2018年~

 

「みをつくし料理帖」シリーズの特別巻。完結編​『天の梯』​の4年後を描く、4編の短編集です。

 このシリーズの記事を読み返してみると、第1巻以外は文字色を反転していたので、本作についても文字色を反転してメモしておきます。

 

―――

 空腹で倒れていた男を助けた種市さんですが、男は占い師で、種市さんは衝撃的な占いを聞きます。しばらく元気が出ない種市さんですが、大阪に向かうという清右衛門さんたちに同行することにします。大阪に戻った澪さんに、浅蜊の佃煮を届けようと、旅に出る一行ですが…。

   *

 小野寺数馬さん(小松原さま)に嫁いだ乙緒さんは、侍女たちに影口を言われていることも知りつつ、感情を押し殺して暮らしていました。しかし、数馬さんの妹から、澪さんの話を聞き、感情が揺らいでしまいます。自身の体の変化もあり、食事も通らなくなります。そんなとき、姑に作ってもらい、大事なときに数馬さんに作ってもらうように言われていたお菓子を、ついに数馬さんにお願いします。

   *

 大阪に戻った野江さんは、「高麗橋淡路屋」を再建し、おかみとしてがんばっていました。しかし、再建から3年。工面してくれた摂津屋から、3年たてば結婚するよう言われていましたが、又次さんのことを思い、番頭の辰蔵さんとの結婚に踏み切れずにいました。

   *

 九州から大阪まで広まった、大阪では「三日ころり」と呼ばれた感染症で、多くの人々が命を落としていました。夫の源斉先生も奮闘しますが、多くの命を救うことができませんでした。また、病により大家を失い、澪さんはお店「みをつくし」を立ち退きしなければならない状況になります。そんな中、源斉先生が過労で倒れてします。どんな料理を作っても、源斉先生に食べてもらえず、澪さんも源斉先生も苦しい状況になってしまいますが…。

―――

 

 シリーズ序盤では、あまりにひどい人間も出てきて、とても苦しい物語もありましたが、本作は基本的には、どれもハッピーエンドで、あたたかい気持ちになれます。

 本書の収録作品は次のとおりです。

「花だより―愛し浅蜊佃煮」

「涼風あり―その名は岡太夫」

「秋燕―明日の唐汁」

「月の船を漕ぐ―病知らず」

 

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Last updated  2019.06.01 22:02:44
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2018.06.16


司凍季『屍蝶の沼』

~光文社文庫、2001年~

 

 司凍季さんのノンシリーズの長編です。

 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

 

―――

 人口およそ2万人の羽室町で、殺人事件が発生した。町の誰も近寄らない沼に、女子高生の死体が発見された。皮膚は黒褐色に変色しており、まるで硫酸でもかけられたような状態、そして左手の薬指が切断されていた。

ミニコミ誌を刊行している《羽室新報》の稲葉菜月は、本件の調査に当たる人を雇いたいという上司の言葉で、恋人でフリーライターの高野舜に連絡をとる。高野はすぐに、事件の調査に当たった。

被害者の担任の不祥事が発生したり、生徒間のいざこざや因習的な町の体質などが明らかになったりはするも、調査はなかなか進まない。

およそ20年前に同様の事件があったのではないかと推理する高野だが、雑誌社のバックナンバーなどからも、なぜかその該当の月の号だけは見つけることはできなかった。

 記憶が断片的に抜け落ちる男、旧友の死を予言していた少女など、特異な体質をもつ関係者の存在は、事件にどのように関係しているのか。

―――

 

 手元にある司さんの作品は全て読んでいるつもりが、本作を未読だったことに気づき、今回挑戦してみました。

 表紙には「長編ホラーミステリー」と銘打たれていますが、いわゆるホラー小説の怖さは感じませんでした。

 冒頭、何人もの人々が沼に身を投げていくという衝撃的な状況を目撃したという人物の手紙という、大がかりな謎の提示から物語は始まります。興味をひきつけられ、物語に入っていけました。

 町の中での対立や、何かを知っていながらよそ者には明かさない関係者たちなど、因習的な町の中で、何が秘密とされているのか、そのあたりの謎も興味深いです。

 一方、解決にいたる論理性や、いくつかの行為の合理性については、私にはちょっと分からない部分もありました。

 

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Last updated  2018.06.16 22:03:37
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2018.03.10

高木彬光『火車と死者』

~角川文庫、1984年~

 

 神津恭介シリーズの長編です。

 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

 

―――

 友人の結婚式に急いでいた神津恭介は、一人の女に呼び止められる。女はとつぜん、熊本に伝わるという「火車」の伝説について語り始める。鴉、猫、狐が、人の死骸を動かすというのだ。先を急ごうとする恭介に、女が、殺人事件の発生を危惧する発言をしたのを受け、恭介は式後に話を聞く約束をする。

 しかし、待ち合わせの喫茶店に女は現れなかった。

 事件の発生を心配する恭介は、知り合いの高川警部に、三種の動物が関係する事件を知らないかと連絡をする。はじめは一笑に付していた警部だが、鴉を飼い慣らしていた男が行方不明になり、鴉が銃殺されるという事件の発生を受け、恭介の言葉を信じ始める。

 そして現場付近からは、女の片腕が発見され……。

―――

 

 火車の伝説をモチーフに、緊張感あふれる物語となっています。

 さらに続く事件では、猫殺しがあったかと思えば、身代金を要求する電話がかかってきたりと、どこか事件はちぐはぐした様相を呈していきます。

 二上洋一さんによる解説も、神津恭介シリーズへの愛があふれていて、楽しく読みました。

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Last updated  2018.03.10 16:50:33
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2018.03.07

高木彬光『死を開く扉』

~角川文庫、1975年~

 

 神津恭介シリーズの長編です。

 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

 

―――

 松下研三は、出版社社長から埋蔵金伝説の話を聞き、小説のネタを得るために福井県を訪れた。そこで旧友の福原を訪ねると、松下の小説をはじめ探偵小説好きの柿山と出会った。

 福原と柿山から、四次元の世界を目撃しようとしている男の話を聞き、松下は俄然興味を抱く。その男―林百竹は、2階の自室に、外に向かった扉を作ったという。階段などはなく、危ないということで、扉の外は壁で覆われたとのことだが、林はなおも魔法の研究を続けているという。

 松下が、福原の蔵書の中に、林を呪うようなメモを見つけ、不安をつのらせる中、事件が起こる。話題となっていた林百竹が、密室状況の中、銃弾で殺されていたという。

 神津恭介と多くの事件の解決に携わってきたため、松下も捜査に協力することとなるが、林家の複雑な人間模様のなか、犯人とおぼしい人物も、殺害の方法もなかなか判明しない。

 電話で状況を聞いた神津からの助言を受けながら、手掛かりを探っていく松下たちだが、さらに不可解な事件が繰り返される。

―――

 

 たまたま、本書の前に​『影なき女』​を読んでいて、その中の「黄金の刃」にも、四次元の世界に行けると豪語する人物が登場していたので、もしや関係のある話かと思いましたが、まったく別の物語でした。

 密室殺人の謎も深いのですが、神津さんの助言もまた何を意味しているのか分からず(御手洗さんが石岡さんに一見不可解な指示をするのを連想しました)、どう真相解明にからんでくるのかをわくわくしながら読み進めました。

 松下さん、神津さん、福原さんの深い友情が伝わってくるのも味わい深いです。

 面白かったです。

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Last updated  2018.03.07 22:28:05
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2018.02.17

高木彬光『影なき女』

~角川文庫、1977年~

 

 神津恭介シリーズの短編集です。7編が収録されています。

 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

 

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「影なき女」私立探偵・相良の事務所に、殺人予告の電話がかかってきた。対応した助手の日下部は、相良に報告し、予告のあった家に向かう。しかし、すでに犯行はなされていた。現場は、犯人が逃げ出せる余地のない密室状況だった。犯行方法に気づいた相良は、現場で実験を試みるが、さらに犯行は繰り返される。

 

「黄金の刃」神津恭介と松下研三が食事していると、神津の知人が居合わせた。そこで知人の男は、自分は四次元の世界に足を踏み込んだ、殺人を犯しても罪に問えまい、という話をした。後日、男に完全なアリバイがある状況で、殺人がなされる。

 

「出獄」松下研三は、道で倒れていた男を助ける。男は、10年前に無実の罪で逮捕され、出獄したばかりという。彼は、出獄した直後に不思議な女に出会い、死んだはずの自分の妻に引き合わされたというのだった。

 

「天誅」新聞社に寄せられた、殺人予告の投稿を受けて、記者の真鍋はその家に向かった。そこには、知人の女もおり、真鍋は予告時間に現場に居合わせることとなった。しかし、予告時間、居合わせた中の一人が、毒を飲んで死んでしまう。

 

「ヴィナスの棺」喫茶店で、神津のコーヒーカップと自分のカップを取り替える女がいた。神津がみると、替えられた後のカップには、ダイヤモンドが入っていた…。女を追うと、女は、自分はある男に殺された女だという。

 

「薔薇の刺青」海岸そばの別荘で仕事をしていた松下研三が海岸を歩いていると、バンガローから出てきた女に目がいった。彼女の薔薇の刺青が目を引いたのだった。女と行動をともにしていたはずの男のことが気になり、バンガローに行くと、そこには背中に短刀が突き立てられた男が倒れていた…。

 

「死せる者よみがえれ」自身の出生の秘密を隠しながら、作家として大成した山名孝二は、数年ぶりに初恋の女と出会う。しかし、それが悲劇の始まりだった。後日、女は、不仲の夫を殺してしまったと連絡をしてくる。彼女を守るため、偽装工作に協力した山名だが、遺体が発見されたとき、現場には山名の関与を思わせるものが残されていた…。

―――

 

 読了から感想を書くまでに時間が空いてしまったので、十分なメモができませんでした。逆に、印象に残っているのは表題作のほか、「黄金の刃」と「死せる者よみがえれ」の2作と再確認しました。

 中でも、「死せる者よみがえれ」が最も印象的でした。表題作の密室のような、大がかりなトリックがメインではありませんが、初恋の女性を守るために動く山名さんが、何者か(初恋の女性その人?)に陥れられていくサスペンス性に手に汗握ります。また、山名さんの「出生の秘密」の問題は、現代でもまだ尾を引いている問題と思われます。

 解説の権田萬治さんが書かれているように、「新しい社派的な方向の萌芽が秘められている」という点で、興味深い物語でした。

 高木さんの社会派作品はまだ読んだことがありませんが、これをきっかけに、関心もわいてきました。

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Last updated  2018.02.17 12:41:07
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2018.02.14


筒井康隆『敵』

~新潮文庫、2000年~

 

 筒井康隆さんの長編です。

 

 主人公は、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授の渡辺儀助さん。75歳になる彼の日常が丹念に描かれます。その食事、買い物の様子、友人や親族との関係などなど、ひたすらに日常や思い出が語られていきます。

 彼はパソコン通信をしているのですが、タイトルの「敵」は、パソコン通信の参加者のメッセージに登場します。北の方で「敵」が現れ、皆が逃げているというのですね。

 はたしてそれはデマなのか、集団妄想なのか、現実なのか。

 一方、渡辺さんの日常も、そのあたりから奇妙になってきます。夢なのか、幻想なのか、それらが現実を浸食しているのか……。

 とてもゆっくりした流れが、終盤に一気に加速し、結末に向かっていきます。

 正直、「分かった」とは言えない作品ですが、終盤ではぞくぞくきました。

 購入してから、なかなか読めずにいたのですが、今回読めて良かったです。

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Last updated  2018.02.14 22:45:27
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2017.12.02
高木彬光『呪縛の家』
~角川文庫、1979年~


 神津恭介シリーズの長編です。
 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

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 松下研三は一高時代の友人、卜部鴻一に招かれて、紅霊教本部の卜部家を訪れた。鴻一の親族が拡大した紅霊教は、もはや多くの村民から見向きもされなくなり、また恨まれる存在であった。
 道中、松下は、奇妙な男から、卜部家は呪われている、「今宵、汝の娘は一人、水に浮かびて殺さるべし」との予言を聞かされていた。そしてその夜、密室状況の中で、卜部家の三姉妹の一人が殺されて……。
 神津恭介が卜部家に駆けつけるが、その後も密室状況での殺人が繰り返される。
―――

 これは面白かったです。
 終盤には読者への挑戦がありますが、これだけヒントをあげたのに分からないなんて頭がどうかしているといった、過激な言葉があって笑ってしまいました。(そして私は頭がどうかしていました……。)
 繰り返される毒殺未遂、密室状況での殺人などなど、提示される謎もどれも魅力的です。

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Last updated  2017.12.02 22:31:13
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2017.11.04

高田崇史『QED~flumen~月夜見』
~講談社ノベルス、2016年~


 QEDシリーズ番外編の長編です。

 1泊2日の過密スケジュールで、桑原崇さんと棚旗奈々さんが京都旅行に出かけます。今回は、崇さんもまだ詳しくないという月読命の謎が焦点になります。
 一方、崇さんたちが訪れる予定にしている神社で、殺人事件が起こります。一晩のうちに、別々の神社で兄と妹が殺され、たまたま妹の遺体を見つけたその知人女性も、階段から落ちてしまいます。また事件の様相は、地元の人しか知らない手鞠唄をなぞっているかのようにも思われました。
 被害者の一人が知人だった小松崎さんも京都を訪れ、事件の調査を進めていき…。

 という流れです。
 今回も、殺人事件の方はいわゆる「見立て殺人」の様相を示していて気になりますし、歴史上の謎もいつものように興味深く読みました。
 いったん本編は完結してしまったQEDシリーズですが、前作『QED~flumen~ホームズの真実』や本作のように、今後も刊行されていくと嬉しく思います。

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Last updated  2017.11.04 13:25:36
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