横溝正史『女が見ていた』
横溝正史『女が見ていた』~角川文庫、1975年~ 昭和24年(1949年)5月5日~10月17日まで、『時事新報』という新聞に連載された(中島河太郎氏の解説より)、ノンシリーズの長編です。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。ーーー 妻とケンカし、飲みに出かけた作家の風間啓介は、誰かに尾行されている気配を常に感じていた。やがて酒を飲み過ぎ、意識があやしくなってきたところで、自分を尾行していた女に助けられる。 しかし、彼が飲み歩いていた時間に、妻が何者かに殺害されていた。ケンカをしており、自分の潔白をすぐに証明できないと感じた啓介は、知人の田代皓三に助けを求める。自分を三人の女たちが尾行していた、彼女たちが自分のアリバイを証明してくれるはずだ…。 皓三は、三人の女たちを探し始めるが、さらに事件は繰り返される。ーーー トリックや謎解きよりも、サスペンスの要素が前面に押し出された作品です(もともと新聞に連載されたのですから、納得です)。なぜ三人の女たちは、啓介を尾行していたのか。名も知らぬ三人の女たちを、無事に見つけることができるのか。どきどきしながら読み進めました(これ、新聞連載をリアルタイムで読んでいたら、ものすごくわくわくしたでしょうね)。 やっぱり横溝さんの作品は面白いです。※表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。