プラ管のドイツ管
たまたま中国製のプラスチック製ドイツ管(両者とも”エーラー式”と銘打っているが、下管A/Eがプレートでないため、厳密にはエーラー式ではない)を吹く機会があった。一方は私が所有するJ. MichaelのCL-450Gモデル(本体ABS樹脂、銀メッキ、22 keys/6 rings)、他方はクワイヤーのバセット吹きが所属吹奏楽団のメンバーから借りてきた、Huashen(華深)社製のもの(HP上で対応するモデルが見つからない)。全体の形状は、上の写真の通り(写真左からStephen Fox: NX system Bb管、Huashen: Bb管、J.Michel: Bb管)。同じBb管なのに長さが全然違うんですが(爆。まぁ、内径が違うと管体の長さが変わるので不思議なことではない(NXのBb管は内径が広いため、BuffetのR-13よりも2.5cmほど短い。J.MichaelのBb管とK.HammerschmidtのBb管のを比較すると、J.Micaelのものの方が1cmほど短かった。しかし、J.Michaelのバレルの短さは異常である)。写真は、左からStephen Fox(NX system), Buffet R-13, J.Michael(German system), Karl Hammerschmidt(Oehler system)。どれもBb管だけれども微妙に管長が異なる。ピッチはどれもA=440Hzのはず。J.Michaelのバレルが異様に短い。ところで、J.Michael, Huashenの両方ともドイツ管で一般的に使用されているViotto社のMPが嵌らない(バレルの内径がMPの外径より狭い)。なのに何故かフレンチの代表的なVandoren社のMPは嵌るw。しかも、両者のMPはよく似ていてBahnの幅が異常に狭い。写真は左からEdward Pillinger作Rモデル、Viotto N1モデル[Grenadilla]、J.Michael付属モデルだが、J.Michael付属モデルのBahnの幅が異常に狭いのを見て取れると思う。また、J.MichaelのMPのウィンドウのみ砂時計のように一度狭くなってまた広くなっている。どうしてこういうデザインなのか謎である。# J.Michael付属モデルだけMPの一部が盛り上がっているが、これは紐巻きのためで別に特別な訳ではない(とはいうものの、J.Michael社/Huashen社の楽器にはリガチュア[紐でなくて]とフレンチのリードがついてきているのは謎である)。実際吹いてみると、Huashen社のものは異常に抵抗が強い。かなり圧力を掛けて吹き込まないと音が出ない。しかも音程が低めである。全体的にバネが強く、かなりしっかりと押さえないとトーンホールを塞げない傾向がある。それと比較すると、J.Michaelのものはまだ吹きやすいといえる(それでもHammerschmidtと比較すると吹きにくい)。バネの抵抗は通常のドイツ管とほぼ同等の感じ。両方ともフレンチのMPが嵌るので、フレンチのMP+フレンチのリードで試してみた。すると、双方とも付属のMPよりも断然吹きやすい。特にHuashen社のものは別物のように吹きやすくなる。総括してみると、J.Michael社のもの、Huashen社のもの両方ともDeutche Systemとはいえず、キーシステムのみドイツ式で、中途半端なドイツ式といわざるを得ないように思う。フランス式の運指でドイツ式の音色を取り入れた「改良ベーム式」(reformed Boehm)というのがあるが、そういう言い方をするのならば両社の製品は「改悪ドイツ式」または「劣化ドイツ式」というのが当てはまるかもしれない。