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できるところから一つずつ

できるところから一つずつ

題詠blog2010


題詠ブログ2010 

【概要】--「題詠100首blog」はこんなイベントです

(1)ブログにはあらかじめ、「001」から「100」まで、100の題が用意されています。
    ※題の決定、発表は1月中
(2)参加者は「001」の題から順に、題をそのまま詠み込んだ歌を1首ずつ、自分のブログに書き込み・・・
(3)自分のブログに書き込んだ「001」の歌なら「001」の歌を、このブログの「001」の記事にトラックバック(投稿)します。  ※くわしくは「ルール(投稿の仕方)」参照
(4)この方法で、題にふられた番号の順に、「100」の題までトラックバック(投稿)が終われば完走です。最後に完走報告をトラックバック。

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001:春
常よりもひと月早く春の来て二月の桜はにかみて咲く

002:暇
呼び出せばすぐに出て来る友らゐて<暇人クラブ>と自嘲気味なり

003:公園
公園にランチを食べる我が傍を行きつ戻りつ鳩が離れず

004:疑
疑問符のやうに頭を巻き込みて五月のわらび首をもたげる

005:乗
いつも乗る朝の電車の三両目馴染みとなりし人も数人

006:サイン
高校の数学以来ごぶさたのサイン、コサイン、はたタンジェント

007:決
決めてゐし心またしも揺らぎたり うすむらさきに雲がたなびく

008:南北
戦ひのあとに残りし傷跡は東西ドイツ、南北コリア

009:菜
愛多きアンがきつぱり肉を断つ 今度の彼は菜食主義(ベジタリアン)で
( )内はルビ

010:かけら
忘れゐし夢のかけらが輝けり子供の頃の家族写真に

011:青
「日」に添へば晴れやかに笑み「水」を得て清しく光る「青」といふ字は

012:穏
穏やかな暮らしは性に合はぬらし波を立てつつ夫は老いゆく

013:元気
娘へのメールにいつも書き添へる「元気でね」とは挨拶ならず

014:接
接点を見つけられずに別れたり「強情なのはお互ひさまね」

015:ガール
ほら、そこをミニスカートで行進のバトンガールがうちの孫です

016:館
図書館にMANGAの棚が設けられ英訳された漫画が並ぶ

017:最近(佐藤紀子)
旧かなはもう少数派 最近の投稿歌壇もネット歌壇も

018:京
「松茸は実家の山で採れます」と京都育ちがさらりと話す

019:押
押入れに閉じこもりたる五歳児がいつか寝息をたてゐる気配

020:まぐれ
桜花白く浮き立つ夕まぐれ孫誕生の知らせが入る

021:狐
おほよそは悪役となる狐たち真闇の奥にコ~ンとなけり

022:カレンダー
朝々にカレンダーの字を一つ消す 数字が楽しい三歳の児は

023:魂 
魂が凍りつくほど寂しいと晩年の母ときに言ひゐき

024:相撲
座席より身を乗り出して観ましゐき相撲がお好きな昭和天皇

025:環
環状線一周しても尽きぬほど女子高生の話が弾む

026:丸
丸文字の手紙たびたび呉れてゐし次女より活字のメールが届く

027:そわそわ 
カレンダーに子の帰省日を書き込みて少しそはそはキッチンに立つ
(そわそわ を 歴史的仮名遣いで そはそは と書きました)

028:陰 
母鴨の陰に身を寄せ蹲る毛玉のやうな雛が七羽も

029:利用 
利用価値ほぼ無くなりて姿消す会葬御礼のテレフォンカード

030: 秤 
さそりより乙女が好きな天秤座 今宵は少し傾きてをり

031 : SF
SFのやうで不気味と八十歳最新トイレを使はむとせず

032: 苦 
苦きゆゑさぞや良薬なるべしと鼻をつまみてひと息に飲む

033:みかん
冴えざえと白きみかんの花が咲き甘き香りがあたりを包む

034:孫 
二本目の乳歯ぐらぐら動きだし孫は巻きずし食べあぐねをり

035:金  
金の鞍に乗りていずこに行きしやら 王子の行方その後を聞かず

036:正義
人類の歴史は時に誤てり勝者の正義のみを語りて

037:奥
ソフィアより贈られたりしバラ石鹸洋服箪笥の奥に香らす

38:空耳 
空耳かはた霊感か亡き母に呼ばれたやうな呼ばれぬやうな

039:怠
給料の明細表に赤文字で「勤怠」とあり われの病欠

040:レンズ
透明なビニール傘に落ちる雨レンズのやうに木立を映す

041:鉛
小さき手に「かきかた鉛筆」にぎりしめ「た か し」と書けり マスをはみ出し

042:学者
まず仮説を立てて立証する癖が科学者なれど少し気障なり

043:剥 
百日紅の皮がシュルシュル剥げ落ちて落葉のごとく地面を覆ふ

044:ペット
兄たちのペットでありし末娘 おとなになりても甘え上手で

045: 群 
群集のブブゼーラの音耳につきワールドカップの興味半減

046:じゃんけん
「い~し、はーさみ、ふうろしきッ!」とじゃんけんをせしと語れり 八十歳は

047:蒸 
赤飯の蒸かしあがりて湯気白し 今日で双子は三歳になる

048:来世
これの世に少し疲れて耒世を夢見る夜はドビッシー聴く

049:袋
少しだけ目覚めた主婦のやうに言ふ「レジ袋なら要りませんから」

050:虹
虹の橋降りて下界に来るといふ鬼の子は親が恋しかるべし

051:番号
我が持てる携帯電話の番号を時につかへて言ひ淀みたり

052:婆 
介護施設に住みゐし母は外食を「娑婆のご飯!」と喜びくれき

053:ぽかん
「ぽかん」とは柑橘類の一種です みかん、きんかん、ぽんかん、ぽかん

054:戯
シェイクスピアの戯曲の中の名セリフ「今日死ねば明日は死ななくてよい」

055:アメリカ 
アメリカの国歌を歌ふ移民たち 歌詞はあらたなスペイン語訳

056:枯
「枯木(かれき)も山の賑はい」なればわが歌歴(かれき)二十余年も歌壇の賑はい

057:台所
台所が居間の続きになりてより女は一人で泣けなくなつた

058:脳 
左脳疲れしときに右脳がそろそろ出番と起きだしてくる

059:病 
「病因は生きてることだ」と夫は言ふ 元気だからこそ言へる理屈さ

060:漫画
サザエさんの漫画の中のフネさんより年上らしい 今のわたしは
(よみはじめたのは、ワカメちゃんくらいの年齢の時だった!)

061:奴
夏の夜のビール、枝豆、冷や奴 定番なれど時に恋しき

062:ネクタイ
退職し出番の減りしネクタイがクローゼットの闇に休めり

063:仏
両親と姉と従姉と親友と 仏壇に置く写真の増える

064:ふたご 
ふたご座の流星群の星ひとつスッと一瞬白く糸弾く

065:骨 
気骨ある明治生まれの母なりき 言ふべきは言ひ譲歩せざりき

066:雛 
恋人となりたる頃の若き夫 女男(めを)の立ち雛彫りてくれたり

067:匿名
日本に一番多き「佐藤」なり 匿名性あるわが本名は

068:怒 
二歳児が足を踏ん張り泣き叫ぶ 総身に余る怒りなるべし

069:島 
「行きたいねえ」と夫とテレビに見てをりぬ星のきれいな父島の浜

070:白衣
薄紅の「白衣」を着たる女医もゐて和やかさうな神経内科

071:褪 
色褪せた記憶の底より呼びもどす祖母の歌ひしお手玉歌を

072:コップ
ポケモンのコップに注げば二歳児が嫌いなジュースもグッと飲み干す

073:弁
弁解が上手になりぬ 幾たびも失敗ばかり繰り返すうち

074:あとがき 
一番に言ひたきことは「あとがき」にあると信じてまずそこを読む

075:微 
「そこのとこうまく伝へて呉れ」と言ふ ちょっと微妙な友の伝言

076:スーパー 
スクリーンは次の場面に移りをり字幕スーパー読み終へぬうち

077:対 
ことごとに反対意見を述べてくるライバルなりき若き日の彼

078:指紋 
ペタペタと指紋のついた鏡台は五歳の双子の遊びの名残り

079:第 
ソナタなら第四楽章 晩年はロンドのように速く過ぎゆく

080:夜 
ベランダで夜明けの月を眺めたり 泊まりに来たる二人の孫と

081:シェフ 
父の日にシェフの帽子を貰ひたる夫が自慢のポトフを作る

082:弾 
心弾みそのまま出して盛り上がるサムライ・ジャパンのデンマーク戦

083:孤独 
「孤独っていったいなあに?」青豆が身を寄せ合ひて莢に並べり

084:千 
初任給二万四千円也が羨(とも)しがられき二十二の頃

085:訛 
日本弁カナダ訛の英語なり 私が日々を頼みゐるのは

086:水たまり 
新しき長靴を履く六歳児ピチャンピチャンと水たまり踏む

087:麗 
「麗しのサブリナ」の中のヘップバーン 高校時代の憧れなりき

088:マニキュア 
その白き指を飾りて華やげり星の図柄の青きマニキュア

089:泡 
雪消えて緑かがやくゲレンデに泡立つことく野の花が咲く

090:恐怖
死の恐怖すつと脳裏をかすめたり過呼吸発作に声も出せずに

091:旅
良心は少し旅行に出しておき医者の禁じるケーキを食べる

092:烈 
峻烈を極める批評受け止めてズタズタなれど光を探す 

093:全部 
何もかも全部話してしまひたり旧き友との旅の夜長に

094:底 
氷河湖の底にしずかに眠るべし 化石となりしアンモナイトは

095:黒 
忘れられ靴箱の闇に隠れをり踵の細き黒のサンダル

096:交差 
交差して気がつぬまま離れゐきだれかさんとの人生ライン

097:換 
四歳が交換条件出してくる 「くすりをのむからチョコをちょうだい」

098:腕 
喪の朝を男は何も言はざりき腕組みをして眼(まなこ)つむりて

099:イコール 
触れ合へぬ平行線の哀しさにイコール記号不貞寝してをり

100:福 
福の神のやうと皆より慕はれて友は涙を流せずにをり



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