992604 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

できるところから一つずつ

題詠blog2013

題詠2013の100首

001:新
新幹線「ひかり」に乗りて西に行く夫と連れ立つ金婚旅行

002:甘 
小さくも甘きみかんのひと袋宇佐駅前の八百屋に買ひぬ

003:各 
各々が秘蔵の雛を店先に飾りて街に春のはなやぎ

004:やがて 
やがて来る更なる老いを想ふ時おろそかならず金婚旅行は

005:叫 
指宿に向かふ急行「たまてばこ」叫ぶがごとく汽笛を鳴らす

006:券
食券を求めて席に座りたりキャナルシティーの喧騒の中

007:別
満ち潮に寄せ来る波の音を聴く別府温泉野天砂風呂

008:瞬
一瞬をきらめくものの残像を瞼に残し流れ星消ゆ

009:テーブル
テーブルに地図を拡げて確かめる昼間歩きし虹の松原

010:賞 
大臣賞の立て札のあるしだれ梅紅鮮やかな花をひらきぬ

011:習
習ひつつ素焼きの皿に花を描く陶芸館の素焼き教室

012:わずか
まだわづか湿り気残るシャツを着るホテルの部屋に干しておきしを

013:極
究極の露天風呂なり屋久島が海のかなたにぼんやり見える

014:更
日本にゐるのを忘れてしまひさう博多のキャナルシティーの夜更け

015:吐
指宿に着きてま白き蒸気吐く観光列車〈たまてばこ〉号

016:仕事
七十二歳旅三昧の七日間仕事しごとの日々のご褒美

017:彼
彼岸かと思ふばかりの穏やかさ如月なれど指宿は春

018:闘
水彩画のやうに淡あは穏やけし闘志を捨てたる七十代は 
 
019:同じ
同じやうに見えても朱(あか)が異なれり柿右衛門窯、今右衛門窯

020:嘆
陶器市の皿に嘆息洩らしたり値札に並ぶ0の数ほど

021:仲
仲良くて元気で暮しもほどほどの証なるべし金婚旅行

022:梨
梨棚に枝を休ませひつそりと春風を待つ伊万里幸水

023:不思議
海の下の関門トンネル歩きつつ不思議なほどに早足になる

024:妙
同じやうに聞こえながらも長崎と佐賀では語尾が微妙に違ふ

025:滅
赤き灯を点滅させて飛行機が闇の奥へと遠ざかりゆく

026:期
一日に二本しかない定期バス高校生をしつかり運ぶ

027:コメント
コメントをせぬのが夫のコメントか 強き否定の影がちらつく

028:幾
幾許か多めに入れる賽銭に口には出せぬ願ひを一つ

029 逃
寒さより逃れて来たる指宿の畑に太しそらまめの莢

030:財
「時」といふ財宝だつたにちがひない 玉手箱より出でし煙は

031:はずれ
どちらにもとれる言葉を連ねたり「はづれ」を避ける占ひサンは

032:猛
〈猛犬に注意〉と門に札ありて静まり返るその奥の闇

033:夏
日向夏のアイスクリームのひと匙に砂湯のほてりおさまりてゆく

034:勢
「よいしょっ」と勢ひつけて起き上がる旅の五日目少しつかれて

035:後悔
後悔がモスグリーンにもやもやと胃の幽門を閉ざし始める

036:少
少しづつ冬から春に変はりゆく鹿児島行きの車窓の景色

037:恨
隠れたるキリシタンにはなかりしか時の政治を恨む心は

038:イエス
オ―、イエス! 大肯定の人生はなかなかよろし 道のひらけて

039:銃
麻酔銃でも撃ちてくれぬか 二日ほどぐつすり眠り続けてみたい

040:誇
逆上がり見せてくれたる二年生誇らしげなり視線を上げて

041:カステラ
長崎のカステラ屋さんの店先に少し値引きの「弟子焼き」並ぶ

042:若
若き日にはなじめずにゐし紫が七十過ぎてしつくりと来る

043:慣
三年に一度は墓参に来る慣ひ 古墳に近き八女の山腹

044:日本
日本字とローマ字、簡字、ハングルと駅名板の表示にならぶ

045:喋
お喋りに夢中になると立ち止まる集中癖のあるこの人は

046:間
一時間に一本しか来ぬバスを待つ木陰のベンチに腰をおろして

047:繋
桟橋に繋留された漁船より上げしばかりの蟹を買ひきぬ

048:アルプス
山羊の乳を木椀に飲ませとせがまるる「アルプスの少女」を読みし五歳に

049:括
孫歌をひと括りにして見さげゐしあなたが祖母になる日近付く

050:互
お互ひの歌を褒め合ひ勉強をした気になりて歌会を終へる

051:般
リビングの般若の面と目が合ひぬ心にきざす翳の消せぬ日

052:ダブル
「スコッチをダブルで」と言ひ脚を組む そんな女であればよかつた

053:受
てんでんこ、死はそれぞれに受け入れてどんな人でも「それでおしまひ」

054:商
〈商ひ〉を〈春夏冬〉を書くセンス江戸の言葉は機智で読むべし

055:駄目
駄目ならば駄目と言ひても構はぬと遠慮がちなり君の頼みは

056:善
悪魔より善魔が始末に負へないと遠藤周作エッセイに書く

057:衰
衰へは先ず脚に来て駅までの徒歩の五分が七分となる

058:秀
「秀作と傑作はどちらが上かしら」友と我とで意見が違ふ

059:永遠
永遠と思へるほどに長かりき地震の揺れの七分間は

060:何
今日ひと日達成感の何もなし いつものやうに夕暮れとなる

061:獣
獣(けだもの)の目をして息のあらあらと仔猫が庭の駒鳥を見る

062:氏
日本で一番多き氏の〈佐藤〉 わが姓として五十年経つ

063:以上
以上でも以下でもなくてささやかな身の丈ほどの淡きしあはせ

064:刑
午前二時隣のピアノが鳴り始む 刑法上の罪にあらねど

065:投
「早実の投手で4番王選手!」  ラジオに聞きゐし高校野球

066:きれい
「きれいね」と花を見せれば二歳児は小さな指でつつきて揺らす

067:闇
闇の中鈴の音させ黒猫のピッピが家をパトロールする

068:兄弟
じょんがらを息もつかせず弾きあげる津軽三味線吉田兄弟

069:視
背を伸ばし姿勢をただし見栄をはるエレベーターの監視カメラに

070:柿
柿の実が夕陽を受けて輝けり 今夜がぐつと寒くなりさう

071:得意
逆上がり出来た位で得意顔はしなくなりたり九歳の夏

072:産
糸川氏の想ひを継ぎて国産の新型ロケット宙に発ちたり

073:史
将来はこういう風に生きたいと斎藤史の自在羨しむ

074:ワルツ
不整脈をワルツのやうだと笑ひをり気にせぬふりが上手な友は

075:良
四十二で逝きてしまへり気がつよく健康優良児なりし姉は

076:納
捨てられずあれこれ溜る納戸なり タイムマシンの機能も兼ねる

077:うっすら
うつすらと霧の向かうに見えてをり乳白色の秋の太陽

078:師
薬剤師になりて優しく応対す ピンクレディーの好きな児なりき

079:悪
どの人が悪者とすぐ区別つく子供映画の簡潔がよし

080:修
修飾をすべて捨てたるわが言葉ぽつりと浮ぶ宙のうつろに

081:自分
何もかも自分でしたい四歳児今朝もボタンをかけ違へをり

082:柔
やはらかき髪亜麻色の九歳が前髪ブルーに染めて登校す

083:霞
風に乗り黄砂が山を霞めたり 中国大陸意外に近し

084:左
指輪の跡くつきり残る左手の薬指より虚しさが来る

085:歯
歯磨きで磨けば銀のスプーンに私の顔が〈おかめ〉に映る

086:ぼんやり
朝からの霧がだんだん上がりゆきうすぼんやりと山が見えだす

087:餅
三日夜餅食べたるごとく入籍し五十年経つ 子も孫も在り

088:弱
「鰯はどこが弱いのだらう」塩焼を改めて見る皿に盛りつつ

089:出口
総選挙出口調査につかまりてついつい事実をそのまま話す

090:唯
唯一の楽しみなれば早起きも苦にせず今日も墨を磨りたり

091:鯨
水面をバシャーンバシャンと尾でたたき鯨は我が乗るボートを揺らす

092:局
薬局で「すずきさあん!」と呼びだされ「さとう」だけれど「はい」と答へる

093:ドア
重きドア支へてくれる人ありて労はられゐる我と思へり

094:衆
聴衆の一人となりて目をつぶる エル・ディーヴォの声「ふるさと」の歌

095:例
故郷の八幡様の例祭にいつも蒸しき栗のおこはを

096:季節
季節風吹きはじめたる霜月にまだ色づかぬ銀杏舞ひ散る

097:証
旧友と並びて撮りし一枚は今年も元気で逢へたる証拠

098:濁
濁し手の白のやさしも有田焼からくり人形万寿姫さま 

099:文
約束は文書でしやうと定めたり 忘れてしまふことが怖くて

100:止
何回も立ち止まりてはまた走りやつとゴールに辿りつきたり


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.