2013/06/26(水)12:01
えびのやうに悲しい
今、書道の課題で書いているのは、室生犀星の「老いたるえびのうた」。
「考えて書いてごらんなさい」とだされた詩だが、字数が多いので、配置も、大きさも、なかなかむずかしい。
でも、そのむずかしさも吹き飛ぶほどの、内容の奇抜さが楽しい。
「えびのやうに悲しい」などという比喩は初めて聞いたけれども、どこが悲しいのかこんがらかっているところなど、身につまされる。
最後で、「生きてたたみを這うてゐるえせえび一疋」とあるので、どうも作者という人間のことらしいが・・・・
室生犀星の一生は、どんな風だったのだろうと、考えてしまった。
「老いたるえびのうた」室生犀星
けふはえびのように悲しい
角やらひげやら
とげやらいっぱい生やしてゐるが
どれが悲しがつてゐるのか判らない。
ひげにたづねて見れば
おれではないといふ。
尖つたとげに聞いてみたら
わしでもないといふ。
それでは一体誰が悲しがつてゐるのか
誰に聞いてみても
さっぱり判らない。
生きてたたみを這うてゐるえせえび一疋
からだじうが悲しいのだ。