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カテゴリ:その他
もう12月か。今年はワンシーズン抜けているような気がする。とくに秋が。ま、寝込むほどの病気も今のところ経験していないので、よしとすべきだろう。
10時半過ぎにM病院に行くために会社を出る。しかし、寒風吹きすさぶY駅のホームに立ちつくしたまま、いつまでたっても電車がこない。人身事故 の影響で総武線が大幅に遅れているようだ。10分以上待ったところで、「ただいま、電車は東中野を出ております」って、まだ10分近くかかるじゃない か。そんな遠くにいる電車のアナウンスをするなよな、とぶつぶつつぶやきながら待っていると、10時50分頃にやっと電車がくる。かれこれ20分以上立 ちんぼだったわけだ。 M病院につくと、いまだかつてないほどのすきすき状態。おそらくは電車の影響もあるのだろう。受付ののりこさんと「おひさしぶりです云々」と世間話。こん な余裕はこの何年もなかった。M爺もなんだか九州の小学生が雪で休校になった時のような躁状態ではしゃいでいる。座って5分もしないうちに「○○さ ん、○○さん」と、最初にアクセントをつけて名前を呼ばれる。ふつうは「○○さん」と後の方にアクセントをつけて呼ばれるので、なんか似た名前だなと 思って聞き流してしまった。その看護婦さんとくだんののりこさんが、どちらのアクセントが正当かということをめぐって神学論争を展開。病院中を私の名前 が二通りのアクセントで飛び交っている。ひますぎるのも考えものである。 先生の前へ。「血液検査の結果じゃが、いい知らせがひとつ。悪い知らせがひとつ」「じゃあ、いいほうから」「尿酸値が7.1。これはずいぶんさがっと る。いい感じじゃ」「は、やっぱ、水分摂取に努めましたんで」「悪い知らせはコレステロール。これが230位ある。」「食事ですかね」「その通り。てん ぷら、フライ、油炒め、その種のあぶらもんはやめたほうがいいな」「すこし思い当たるふしが」「食事のコントロールじゃ。コントロール。尿酸じゃって下 げる薬はなんぼでもあるけど、わしゃ薬は極力つかわんぞ。食事で下げたことに意義があるんじゃ。コレステロールも一緒。」「はあ」 「ところで今日は何年ぶりかですいとるから、なんでもしちゃげるぞ、なんでも。注射も百本くらいできる」「いいですよ。一本で」「そうか、遠慮深い の~」などといいながら、三年以上にわたって記入された私のカルテを点検。「あんた、もともと首がわるかったんじゃろ」「ええ、一時はひどくて」「もう ええのか。そうじゃ、レントゲンとろう、レントゲン」ということで、先生御自らレントゲンを撮ってくれる。 私がすたすたとレントゲン室に入ると、看護婦もあまりの早さにおろおろしてるし、爺はえんえんと世間話してるし。 「あれ、○○さんもうきちゃったの」「ええ、レントゲン撮るそうなんで」「じゃあ、先生だれとはなしてんの、いま」「さあ、なんか具合の悪い霊でもきて んじゃないんですか」というと看護婦笑う。なんだかまだ話しの続きしながら先生到着。「地球は温暖化するといっておおさわぎしとるが、わしの考えでは逆 に寒冷化するんじゃないかとにらんどる」「そうですか」「マイケル・クライトンもかいとるが、温暖化は先進国だけで、それ以外の国では寒冷化のデータも でとるそうじゃ」「ほう」「あっちでぬくもり、こっちで冷えれば、全体のバランスでうまくいきそうなもんじゃがの」というあたりでこちらももてあまして 沈黙。「わしもこないだマンモスみてきたけど、ありゃ、よかったな、マンモス」「地球博ですか」「そう、あのマンモスの牙なんか、真っ白じゃったよ」と いうあたりで、レントゲン4枚撮り終わる。 「どうですか」「うーん、首がまっすぐなのがきにいらんが、骨棘(こっきょく)というほねのとげもないし、脊柱管が狭いのはしっとるけど、こうやってみ るとそれほどきにならん。脊髄もまがっとらんし、だいじょうぶじゃないかな、わしの勘では」というので安心する。この先生は世間話聴いていると不安にな るが、実は東大医学部出て、オックスフォードまで留学している世界的な名医なのである。とくにそのレントゲンを見る時の集中力と素早さ、的確さは素人目 にも並はずれた力量を感じさせる。その医者がだいじょうぶそうというのだから、そこらへんのぼんくらが100人束になったよりも心強い。 ということで、首にレーザーを5分当てるリハビリと、注射を一本打って、治療終了。そうそう、このところ、右の腰のあたりが乾燥のために赤くなりかゆく てたまらないので、ヒルドイドという軟膏をもらう。これが自然治癒をうながすなかなかのすぐれものなのである。すると先生「まー、これもいいんじゃが、 まず、クリーム塗れ、クリーム。わしなんかいつもぬっとるぞ、いいのはな、ザーネじゃ、ザーネ」といいつつ、机の一番下の引き出しを開けて、白い容器に 入ったザーネクリームをとり、「ほれ、こうして、ちょっと塗ってみい」とすすめてくれるので、遠慮なく手に塗る。「これは余計なもんがはいっとらんし、 いちばん効くぞ。マツモトキヨシでこーんなおっきいやつが千円せんくらいだ、いや、千円はしたかな。とにかくこれがええぞ。」「じゃ、さっそく私も買い ますよ」先生「おっきいのうっとるぞー。まつもとおー、きよしー、まつもとー、きよしー」と歌ってる中を退散。今日初診に来たとおぼしきおばはんが不安 そーな目で診察室を見つめていました、とさ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.01.02 09:43:17
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