うちゅうじんあらわる
今夕 日も沈み、暗闇が差し迫ってきた頃、 家で不要必要の分別をしていたら、 玄関チャイムが何回も鳴った。 誰だこんな忙しいときにたずねてくるなんてと思い 玄関ドアを開けた。 痩せた若い男の人が立っていた。 ちょっとやつれた感じだ。 落花生や裂きイカ等のおつまみを買ってくれと言う。 いくらするのかというと一袋のセットで8000円と言う。 これを買ってもらえないとお金の工面ができなくて年を越せないという。 そんな高いお金では買えないから他をあたってくれと言ったら 頼みますから買ってくださいと泣きついてきた。 ところで、名前なんちゅうの? アンタこの辺の人じゃないね。 しゃべり方がちょっとなまってるよ。 「はい西のほうから来ました」 「名前は 雨中 仁 といいます」 ほうぉ!? うちゅうじん さんというかね。 そんなら宇宙人だけにお金はいらんね。 マネかれざる客 ってことでおひきとり願おうか。 すると彼は悲しみ怒る様子もなく 何も感じなかったかのように静かに去っていった。 何なんだあいつは???と疑問だけがのこった。