ウードとオヤジさん
今、昭和の歌謡曲をよく聴いているが、その前は図書館から世界の民族音楽のCDをひたすら借りて録音していた時期があった。この手を借りる人は少ないようで、借りるのに順番待ちをしたことは一度もない。 以前からインド音楽には興味があったので、まずシタールが入っているものから借りて、それからどんどん地域が広がっていった(すごいマニアック路線だと自分でも思う)。 シタールの他に好きな弦楽器では、南米のチャランゴとアラブのウードがある。 チャランゴが入っているので有名なのは『コンドルは飛んで行く』だろうか。マンドリンのように高くてかわいい音がする。いつか弾いてみたいと思う。図書館からは4曲の異なるアレンジの『コンドル…』を借りることができた。 ウードは、楽器の大きさはギターよりほんの少し小さいくらいだろうか。バイオリンと同じでフレットがない。音色は日本の琵琶に似ているかもしれない。 2,3年前、長崎でイラク人のウード奏者のコンサートがあって、運良く最前列で観ることができた。演奏は素晴らしく、コンサートは大成功だった。特にぼくの左隣の60前後のオヤジさんは、かなり興奮していて、曲が終わるたびに一生懸命拍手していた。その様子を観るのもかなり面白かった。 曲の中では、イラクの戦争を取り扱ったものがあり、ウードで空襲警報のサイレンの音や飛行機の音を楽器で出していた。まるでジミ・ヘンドリックスのようだった。ぼくはこの曲は以前にテレビで観て知っていたので、かなり深刻な気持ちになっていたが、隣のオヤジさんはニコニコ笑って拍手するばかりだった。歌詞がないのでしょうがないかな。 コンサートは決してマニアックなものではなく、誰もが感動するすばらしいものだった。最後はスタンディングオベーションになって、大盛り上がりで終わった。でも、一番盛り上がっていたのは、ぼくの左隣のオヤジさんだろう。生の音楽は色々楽しめて面白い。