あんかけスパッゲティー編あんかけスパゲッティー編「さくらちゃん、ごめんね~、遅くなって。」 「ぜんぜんイーヨ。いつも、さくらが遅刻してるから。」 「それよりその格好・・・おかしくない?やめてよ。パンパンに膨らんだバッ グ肩から斜め掛けして、サークルKの袋持って変だよ。」 「頭も後ろ、寝癖がついたままだよ。」 「しかも、背広着てるのに、なんで白いスポーツソックスなの!?ズボンの折り目はとれちゃってるし、どうしたの?」 「いや、急いでて、着る物無くて・・・。」 「もう・・・それで同伴するの恥ずかしいィ、私。」 「袋の中、何入ってるの?ピンクっぽいものが見えるけど、グイ~ンって動くイヤラシイ物じゃないよね?」 「ち、違うよ~!、これは、ギョニソ・・・。」 「何、ギョニソって?」 「それについては、また、機会があったら話すね。それよりお腹空いてない?」 「私、パスタが食べたい。」 「冷製トマトのカッペリーニか、春キャベツとアンチョビのパスタがいいな~」 「パスタ屋さんはあまり知らないけど、修行時代に、よく行ったお店があるから、そこ行ってイイカナ。」 「へ~ちゃんの修行時代のお店か~、楽しみ!おしゃれなお店?」 「・・・・・・」 さくらちゃんに、その格好、絶対おかしいとか言われながら、二人は東急ホテルの裏にある、ビルの二階へ歩いて行きました。 「何~!!ココォッ!?お、男の人ばっかじゃん!!え~!?ここってパスタ屋さん?女性は私だけだよ!なんか、酸っぱいニオイしない?」 「何!!これェ~!!へ~ちゃん、何頼んだの~!!これ一人分?これ何スパゲティー?あんかけうどんじゃないよね?エ~ン、絶対食べられないよ~、こんなの」 「もう、さくらちゃん、『~!』や、『~!!』や、『?』って、ウルサイよ。酸っぱいニオイとか、おじさん臭いとか、うどんとか、ちょっと言い過ぎだよ。」 「ヨコイのあんかけスパって知ってる?ここは『そ~れ』といって、『ヨコイ』と共に、あんかけスパの元祖と言われるお店なんだ。」 「聞いたことあるけど、知らない。」 「太いパスタね、こんな太いのがあるんだ~。」 「噛み応えが独特!!アルデンテとは違って、名古屋弁の『こわい』ってやつね。」 「顎がだるくなりそう。フォークに巻くのに力がいるよ~!!。スプーン無いの?」 「具もすごいわね!キャ~、赤いウインナーなんて小学校以来よ、プ、プレスハムも入ってる!あとは玉ねぎ、青ピーマン、人参、トマトか~。それを塩、胡椒で炒めただけで、野菜炒めみたいな具ね。」 「周りにかかってるのが、『あん』ね。胡椒辛さのなかに、酸味と旨味・・・ウ~ン、トマト風味で、こくがあって・・・、変わった味ね。」 「もう、うるさいな~、さくらちゃんは。おじさん達はみんな黙って食べてんだから、さくらちゃんも、もう少し静かに食べてくれない?」 「あ~、へ~ちゃんが、さくらじゃなくて、おじさん達の味方してイジメル~!!」 「いや、味方とか敵じゃなくて、みんな、短い休憩時間をゆっくり過ごしたい訳だから。」「ねっ!ただでさえ、さくらちゃんみたいに、若くて、可愛い子を連れて来ると、おじさん達からスッゴク反感を買う訳よ。だから、もう少し小さな声で話してくれよ。」 へ~ちゃんは、いつもは、周りのおじさん達の立場だから、甘えた声でしゃべる綺麗なお姉~さんを連れたおじさんを見ると、まして、腕に『あ~ん』みたいに絡まっているのが、目に入った日には、もう羨ましいやら、悔しいやら、苦虫を噛み潰したような気持ちでいらっしゃるのが、手に取るようにわかるので、落ち着いていられません。 「あんかけスパって言うけど、お店側はミートソースって呼んでるらしいよ。にんにく、玉ねぎ、人参、じゃがいも、トマト、牛肉を炒めて、オーブンで鍋ごと煮込んでから漉して、塩、胡椒、香辛料をして、トロミをつけて、完成するのに、2日間もかかるんだって。」 「あんかけスパゲティーって呼び名は『ズームイン朝』で名古屋の名物スパとして紹介された時に、取材された『ソール本山』ってお店のご主人がつけたらしいよ。」 「・・・・でも、この量は信じられない・・・・工事用の白いヘルメットがお皿の上に伏せてあるみたい・・・・」 「スパゲッティspaghettiは1.6~1.9ミリくらいの太さに使う言葉で、あんかけスパの麺は2.2ミリだから、正確には2ミリ以上に使われるスパゲットーニspaghettoniって呼ぶのが正しいね。ちなみにカッペリーニcapelliniが0.9ミリ、その上の1~1.2ミリくらいまでがフェデリーニfedeliniで、スパゲッティとの間がスパゲッティーニspaghettiniって、呼ばれているかな。イタリアだと、スパゲットーニは折って、スープの具にするんだって。」 「・・・・へ~ちゃん、何んで、そんなツマンナイ事知ってるの?・・・・」 「・・・・・・。イタリアじゃあ、パスタ食べるのに、スプーン使うのは子供だけらしいよ。そいでね、昔は庶民は手掴みで食べてたんだって。こう、腕を伸ばして持ち上げて、垂れてる下の方から口に入れて食べたらしいよ。」 「どうせ私は子供よ。」 「へ~ちゃん、今日、やっぱ変よ。やたら知ったかしちゃってさ。」 「知ったかしてる割に、シャツに『あん』の点々がついちゃって、ネクタイの先が『あん』の中に入っているのにも気付かないし。」 「ア~ッ!!どうしよう!!今、奥さんに叱られてて、家に入れてもらえないから、着替えが無いんだヨ~!!」 「・・・・それでその格好なのね・・・。私、頭痛くなってきた・・・・。私、今日、お店休むわ。もう帰る。ごちそうさま。」 「エ~!?そ、そんな~!!おじさん、これから夜中まで、どうやってひとりで過ごせばいいの~?さくらちゃ~ん!!」 かわいそうな、へ~ちゃん。 お店のおじさん達が友好的な笑顔で、迎え入れてくれていることに気付かないほど、動揺しています。 フォークを握り締めたまま、だらしなく立ち尽くしているへ~ちゃん。 ネクタイに染みた『あん』が垂れて、ズボンの股間を濡らしてるよ~!! 働く男たちのパワースパゲッティ屋さんのご紹介 ヨコイ(住吉店)052-241-5571 名古屋市中区栄三丁目10-11 サントウビル2階 11:00~15:45 17:00~20:45 日休 1960年にソースを完成し、1963年にスパゲティ専門店ヨコイを開業しました。 スパゲッティハウス そ~れ 052-265-3990 名古屋市中区栄四丁目4-9-10 リオプラザビル2階 11:00~25:00 日休 今年で40年になるそうです。 スパゲティ ユウゼン 052-972-6722 名古屋市中区新栄町3-13 東急ホテル向かいのビルの地下 月~金 11:00~22:00 土,祝 11:00~20:30 日 11:00~17:30 ソール本山 一社店 052-777-7031 名古屋市名東区高社一丁目191 サンローヤル東山 11:00~21:00 日休 「からめ亭」というFC店を名古屋市内以外にも、碧南、豊田、瀬戸、岡崎と展開しています。 スパゲティハウス バンブー 052-251-3692 名古屋市中区大須三丁目22-12 第2大東ビル2階 スパゲティとロシア料理の店 ルパシカ サンゴも販売している不思議なお店です。 名古屋市中区大須二丁目31-5 11:30~14:30 17:00~20:20 日休 あんかけスパゲッティ専門店 PASTA de CoCo 0586-75-3855 愛知県一宮市三ツ井七丁目3-4 11:00~22:00 無休 全国に841店舗を展開しているカレーハウスCOCO壱番屋が「名古屋の隠れた名物を全国に広める」をコンセプトに新業態として、あんかけスパに挑みます。 2006年までに70店舗を目標にしているそうです。全国区の名古屋名物の誕生か!? |