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存生記

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2009年10月21日
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「亡国のイージス」のDVD。某国の工作員と一部の自衛隊の連中がイージス艦を乗っ取る。しかも米軍が開発した化学兵器を盗み出し、日本政府を相手に大立ち回りを演じる。それなりに楽しく見られる。イージス艦内部のサスペンスやアクションもある。国防だとか愛国心だとか問題提起もなされている。

物足りなさもある。寺尾聡が反乱軍のリーダーを演じているが、人間的な部分に引きずられるキャラクターということもあって、人物に魅力がない。自分の子供がどうのこうのという私情が憂国の志と入り混じっていて――そこが心理的葛藤なのかもしれないが――軍人として不甲斐なさ過ぎて緊張感がない。決起したわりには、部下たちも迷いがあってすぐに統制が乱れてしまう。中井貴一のような冷徹なキャラで固め、誰が反乱軍なのかがもっとわからないような展開に引っ張っていく手もあったのではと感じた。

女性の工作員が入り込んでいるのもエンターテイメントとはいえ、鼻白む。しかもなんだかよくわからない死に方をする。原作を読めということか。全体的に憂国談義の台詞が前面に出ているが、この後におよんでそんな場面で議論や説得をしてもしようがないだろうと思う。役者の熱演もあってそういうところが感動的な場面として演出されているのだろう。当時防衛大臣だった石破茂の「英断」によって自衛隊の協力が実現したそうだが、プロパガンダの効果はあったのだろうか。

「サハラ戦車隊」(1943)のDVD。「亡国のイージス」は自衛隊の協力だったが、この映画はアメリカ陸軍が協力している。ハンフリー・ボガートが軍曹役で主演。第二次大戦のアフリカ戦線。一台の戦車が砂漠を走る。イギリス人、スーダン人と出会って戦車に乗せて、イタリア人やドイツ人を捕虜にして彼らも戦車に乗せていく。貴重な水も乏しいというのに、捕虜を律儀に連れて行くのだ。捕虜を砂漠に置き去りにする冷酷な役をハンフリー・ボガートが演じたら、アメリカ人の観客もひいてしまうのだろう。

水という資源をめぐる攻防はそのまま第二次大戦の縮図だ。水が豊富にあるようにみせかけてドイツ軍をおびき寄せる決死の作戦が山場として描かれる。敵が自分たちよりも圧倒的多数でも、機関銃があれば戦えるということがわかる。さいわい敵は歩兵中心なのだった。

作られた時代というのもあるが、例によってドイツ人は戯画的に悪く描かれている。それに比べてイタリア人はかなり「人間的」に描かれている。雄弁にメッセージを発する役に設定されている。

「サハラ戦車隊」という邦題だが原題は「サハラ」のみだ。「戦車隊」というと戦車が何台も連なっているように思うが、実際は一台の戦車に多くの兵士や捕虜が乗り込んでドラマを繰り広げる。砂漠で水を現地調達というのは厳しい。水の取り合いで殺し合う姿が戦争の虚しさをかもしだしている。





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最終更新日  2009年10月22日 00時48分36秒



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