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存生記

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2010年04月02日
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「インビクタス 負けざる者達」を渋谷で見る。ネルソン・マンデラ大統領が白人中心のラグビーチームを励まして、ワールドカップ優勝を達成する様子が描かれている。スポーツによって皆が団結するという話というと学園ドラマの定番で、ラグビーはその象徴的なスポーツだった。とはいえ「スクール・ウォーズ」のような熱血教師のドラマはあまり好きではなかった。部活動と関係のない型破りな教師を中村雅俊が演じた「ゆうひがおかの総理大臣」のほうが好きだった。

 サッカーや野球は好きだが、ラグビーは興味がないのでテレビでも見る気はしない。それでもこの映画には引きこまれたのは、ひとつにはマンデラのカリスマ性と彼を演じるモーガン・フリーマンの魅力である。揺るぎない信念、老獪な根回し、臨機応変な対応、この三つを高圧的にならずにさりげなく実行する。リーダーシップは発揮するが、ラグビーに関しては主将を信頼し、アドバイザーに徹する。アメと鞭ではなく、詩を書いた紙片にすべてを託す。

 アパルトヘイトで悪名高い南アフリカという特殊な国が舞台なので、祖国に尽くすという愛国心の発露がアレルギーなく見られる。クリント・イーストウッドは例によって説明を排して、映画ならではの語りで話を進める。その進め方が実にスムーズで、(多少の障害はあっても)好運に恵まれて物事がうまくゆく感覚を映像で体感させてくれる。こんなことは現実の人生ではなかなかないが、スポーツの世界ではそんな奇跡がありうる。しかし奇跡という瞬間的な僥倖は映像にした途端に逃れ去ってしまうようなものなので、スポーツ映画は現実のスポーツにはかなわないことがほとんどだ。

 カリスマ大統領、有能なスタッフ、聡明な主将とタフな選手たちがワールドカップ開催のタイミングにうまく化学反応を起こして実力以上の結果を出すことができた。こんなことはそうあるものではない。だからこそ南アフリカの観客はあれほど歓喜し熱狂したのだ。





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最終更新日  2010年04月03日 12時44分16秒



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