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存生記

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2011年02月02日
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「キック・アス」を新宿で観る。正義の味方を夢見る若者を、漫画的誇張をまじえたすさまじい暴力描写を交えながら痛快無比に描いている。デフォルメすることでようやく娯楽になりうるようなギリギリの線を狙っている感じで、こうした描写は、それが暗示する風刺的な毒舌もそうだが、アメコミ映画ならではという感じがする。謎の幼女がもうひとりの「スーパーヒーロー」として登場するのだが、これが「セーラー服と機関銃」や「スケバン刑事」どころではない活躍っぷりで、子供と大人がここまで真剣勝負の殺し合いをするのかと驚かされた。子供も親もクレイジーなのが笑える。世も末だと嘆くと同時に、奇想天外な設定だからこそファンタジーとして笑うことができる。

 映画マニアも銃器マニアも納得のかっこいい演出もリズミカルな展開に拍車をかける。ネットで購入する新兵器もおもしろいが、バズーカの使い方も絶妙だ。精神分析的な見方をすれば、バズーカというファルスを使いこなすことで若者は大人になるというのだろうが、そのような収まりのよい終わり方で、「目には目を」の凄惨な暴力にカタルシスをもたらす。

 この映画でもアメリカ自体が体現してきたように正義は力であり、力こそ正義であったわけだが、力の正義で悪を撲滅することはできない。スーパーヒーローたちは学園生活という日常に回帰するが、悪は復権のときを虎視眈々と狙っている。キャスティングがはまっていることもあって、続編もありえるような終わり方ともいえる。

 ネットをきっかけに世論が沸騰する様子や、偶像は求めるが誰も自分は矢面には立ちたくないというエゴイズムもしっかり描かれていて、正義の味方は孤独で割の合わない仕事だということが暗示される。この映画を見た人が「伊達直人」を始めたのではないかという感想をネットで読んだが、力にはよらない正義のささやかな実践なのだろう。





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最終更新日  2011年02月02日 16時49分14秒



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