2007/04/13(金)22:01
山崎豊子 「華麗なる一族(上)」
キムタク主演ドラマが終わったタイミングで読み始めたこの本。
山崎豊子先生の「華麗なる一族」です。
業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構「銀行」を徹底的に取材した力作。
まだ上巻を読み終えたところですが、とりあえずここまでの感想を。
1月からドラマ放映ということで、昨年末、本屋さんに沢山積んであったのを買いました。
3ヶ月放置。。。(--;)
ドラマは観てませんでした。
でも、初回だけ途中まで観ちゃったので、万俵家の配役は分かっちゃうんですが。
結構良かったみたいで、評判良いですよねー。
本読み終えて良かったらそのうちDVDでも借りて観ようっと。
⇒TBS日曜劇場「華麗なる一族」番組公式HP
⇒DVD発売予約
小説を読む前に配役を大体知ってしまっていたので、先入観みたいなのがあって、ちょっと嫌だな~と思ってたんですが、そんなのは山崎先生の筆力が打ち消してくれました!
この方の小説を読むのは初めてなのですが、徹底的な人物描写をされるので、自分の頭の中に、あらたな人物像を思い描くことが出来ます。
さすが元新聞記者だな~、と思いました。
ドラマを観てないので、演技がどうだったか分かりませんが、配役のイメージだけでいくと、相子役の鈴木京香さんが小説の人物像に一番嵌ってます。
鉄平はどうかな~。
やっぱりキムタクだとちょっと軽薄な印象が否めない。
でも性格的な部分で考えると、キムタクで良かったかなという感じがします。
カラッとした明るい感じが合ってるかも。
銀平がちょっとイメージ違う。
山本耕史くんはどうしても「ひとつ屋根の下」のイメージが抜けなくって。。。
番組公式HPを観ると、年齢設定が少しずつ若くなってますね。
そうだよね、さすがにキムタク40歳はないよねf^^;
でも、上巻を読み終えたところで、一番気になるのが銀平!
ニヒル気取ってるけど、実はお母さん思いの優しい子なのよねぇ。
そういうの、ぐっときちゃう(=´∇`=)
時代は大阪万博の数年前、昭和42年(1967年)くらいでしょうか。
大阪万博が昭和45年(1970年)、東京オリンピックが昭和39年(1964年)なので、ちょうどその間、日本の高度経済成長が成熟した頃かな。
金融再編、という政策によって翻弄される銀行家、万俵とその一族。
ここ数年でもメガバンクの合併、ということが世間を騒がせたこともあり、時代背景ほどに古さを感じさせません。
どうでもいいけど、おかげでみずほに2口座、三菱UFJに2口座持つハメに。。。
山崎豊子さんというと、社会性のあるテーマを主題に長編小説の名作を執筆されていますが、これまで読んだことがありませんでした。
過去ドラマ化され傑作といわれた、「大地の子」や「白い巨塔」など、話には聞いても観たことなかったし、結局のところ、社会小説、というジャンルに食わず嫌い感があったんですね。
でもこの歳になって、社会人としても経験値を積んでから読むと、時代は違っても相通ずる部分が多々あったりして、すごく面白く読めました。
文体も予想に反し固くもないし難しくもないです。
ていうか、読みやすい。
企業、銀行、財界、政界、官僚、それぞれの野心と保身、政治的な思惑や駆け引きが、とても女性作家さんとは思えないリアルさで客観的に描かれています。
そして今なら『セレブ』と言われるような上流家庭と上流社会の人々。
そのしきたり、慣習、生活は、今の私たちからは考えられないです。
そしてその光と闇。
当時はまだお見合い結婚が主流だっただろうし、家父長制度が保たれていただろうことを考えれば、上流社会ではこんなこと日常茶飯事だったんでしょうね。
上巻では、万俵大介の銀行家としての野心、冷徹さ、鉄平の鉄に対する思い入れと希望が対比的に描かれ、親子間の確執とその影にある秘密を匂わせて終わります。
さらに二人の確執は激化しそうな気配をみせています。
よし!中巻を読むぞ!
【追記】
中・下巻の感想はコチラ。