No Story, No Life

2007/05/12(土)17:21

森博嗣 「堕ちていく僕たち」

感想【小説】(40)

しばらくご無沙汰してました森博嗣さんの「堕ちていく僕たち」を読みました。 著者: 森博嗣 出版社: 集英社 サイズ: 文庫 ページ数: 248p 発行年月: 2004年05月 ある日突然、男が女に、女が男に変わったら…?神出鬼没の摩訶不思議なインスタント・ラーメンが巻き起こすミステリアスな五つの物語。生まれてからずっと男でいつづけるのも、女で一生終わるのも、人間ってけっこう楽じゃない。性に悩めるあなたも、悩んだことなんて全然ないあなたも、さあ、そんな綱渡りのような固定観念を捨てて、性差の呪縛ものりこえて、新しい自由な世界へようこそ。 【目次】墜ちていく僕たち/舞い上がる俺たち/どうしようもない私たち/どうしたの、君たち/そこはかとなく怪しい人たち ブログを始めて森博嗣さんを久々に読みたくなったのですが、結構活字量が多い方だったと記憶していたので、少し軽めのものでシリーズものでないものを、とこの作品をチョイスしました。 森博嗣さんの作品は、一時期、「すべてがFになる」シリーズに嵌りました。 といっても、今調べてみたら、「冷たい密室と博士たち」、「笑わない数学者」、「詩的私的ジャック」、「封印再度」までの5作品しか読んでないみたいです^^; この後も続々刊行されてますし、別のシリーズものもいろいろ書いていらっしゃいます。 すごい多作ですねー。⇒umiさんところのフリーページ♪ うーん、今から全部読めるかな。。。 森博嗣さんの作品には英語のタイトルが付いてますが、それがなかなか面白い。 例えば、 すべてがFになる・・・THE PERFECT INSIDER 冷たい密室と博士たち・・・DOCTORS IN ISOLATED ROOM 笑わない数学者・・・MATHEMATICAL GOODBYE 詩的私的ジャック・・・JACK THE POETICAL PRIVATE 封印再度・・・WHO INSIDE 最後のなんて、すごくないですか? 封印再度⇒WHO INSIDE 洒落てます^^ それ以外だと、「女王の百年密室」と「スカイ・クロラ」が既読です。 どちらもすごい面白かったですが、特に「女王の百年密室」はすごい好きですねー。 この2作もその後シリーズ化してるようで、、、。 頑張ります;^^A 森博嗣さんは名古屋大学の助教授(!)をされてたかと思います。 建築の。 私も建築だったので、ちょっと親近感。 今はどうなんでしょう。さすがにもうお辞めになったんでしょうか。 それに、理系作家さんのミステリって好きですねー。 東野圭吾さんもしかり。 なんか、曖昧さがないというか、分析的な文章、というか。 ところが、この作品、これまで読んだ森作品とは全く作風が違いました! 連作短編になってますが、毎回別々の人物の視点で描かれます。 最後の「そこはかとなく怪しい人たち」以外は一人称。 5作の短編に共通するのは、皆、インスタントラーメン(サッポロ一番みたいな鍋で作るやつ。)を食べた後、性別が逆転しちゃう、ということ。 なんじゃ、そりゃー。 と思わず叫びたくなるくらい変な設定。 しかも突然男になっちゃったり女になっちゃったりする彼らは、意外とすんなり受け入れてしまったりする。 朝起きたら、グロテスクな虫になっていた、カフカの「変身」のザムザを思い出しました。 まぁ、ザムザの場合、人間じゃなくなっちゃったので比較対象にはならないかもしれませんが、でも、何となく、今まで自分を自分たらしめていると思っていた確固たる事実が覆されてしまう、というところで通ずるものがある気がして連想しました。 性別って不思議ですね。 男だとか女だとか、その境界は曖昧になってきてますし、男女共同参画だとか性差別禁止、だとか叫ばれたところで、生物的に別のセクシャルであることは動かせない事実。 社会的な役割はおいておいて(といってもどうしてもリンクしますが)、生物的な役割に、おしべとめしべ、オスとメスな違いがあるわけです。 果たして自分が朝起きて男になってたとしたら、男として生きられるだろうか。。。 うん、意外と簡単なことかもしれない。 今だって外見を覗けば、中身は大して男の人と変わらないんじゃないか、、、。 物理的には確かに女性だけれども、精神的にはどうなんだろう。 若干女性よりではあると思うけれども。たぶん。。。 そういえば、子供の頃は男の子になりたくてしょうがなかったなー。 なんで男に生まれなかったんだろう、って半ば本気で思ってました。 今でも生まれ変わるとしたら男がいいなー、と思う。 と、全然感想になってませんが、ちょっと変だけど、切ない部分もあったりして、そこそこ面白い小説でした。 まぁ、でも森作品としてはどうかな、と思いますが。 表題作の、「墜ちていく僕たち」は一部詩的な文章があって、印象的です。 ●外部リンク Wikipedia⇒森博嗣 公式HP⇒森博嗣の浮遊工作室 公式ブログ⇒MORI LOG ACADEMY

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