No Story, No Life

2007/10/09(火)00:58

奥田英朗 「サウスバウンド」

感想【小説】(40)

いったいいつ以来なのか考えるのもいやになる小説感想ですf^^;  サウスバウンド     著者: 奥田英朗 出版社: 角川書店 /角川グループパブリッ サイズ: 文庫 ページ数: 上巻・356p/下巻・274p 発行年月: 2007年08月 小学校六年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。誰が聞いても「変わってる」と言う。父が会社員だったことはない。物心ついたときからたいてい家にいる。父親とはそういうものだと思っていたら、小学生になって級友ができ、ほかの家はそうではないらしいことを知った。父はどうやら国が嫌いらしい。むかし、過激派とかいうのをやっていて、税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などないとかよく言っている。家族でどこかの南の島に移住する計画を立てているようなのだが…。型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、長編大傑作。 上巻と下巻で随分厚さが違うな~、と思ったら、上巻は東京編、下巻は沖縄編とうまいこと分けてありました。 そしてそれに合わせて表紙も変わってる!(今気付いたf^^;) うまい! そしてこちらは2007年秋の文庫フェアプレゼントキャンペーン対象商品だそうですよ! 詳しくはコチラ⇒ フェア定番のブックカバープレゼント。なかなかステキです。柄は選べないそうですが。 楽天ブックスさんでもこんなことやるようになったんですね~ 私は地元の本屋さんで買いました。帯にカバープレゼントの告知ついてたけど今見たら9月20日までだった。。。orz 最近好きな作家さんの一人、奥田英朗さんの作品! といってもかなりお久しぶり~でした。ブログ始めてから読んでないしw 既読本はこちらに一応まとめてあります。 映画化のタイミングでの文庫発刊ということで単行本から2年と早いサイクルでした。やったね! 本を買った後に映画のCMをちらっと見て「へぇ~、トヨエツか~、天海祐希か~、ふぅ~ん」とあまり感心を持ってなかったんですけど、読み終えた今、俄然興味が涌いてきました。 だってすっごい面白かったんだもん!! これは誰彼かまわずオススメしたい! 小説って人によって合う合わないがありますけど、これは大丈夫です。きっと誰が読んでも面白いと思うなー。 奥田さんは元々ライターさんだそうで、重松さんもそうですが、そのせいかこのお2人はすごく文章が読みやすいです。 文体を変に凝った言い回しにしたりとか、抽象的な文章とかはほとんどなく、すらすら頭に入ってきます。 う~ん、まさに活字離れ気味の今の私にピッタリww! それでいて言い回しとかちょっとした描写が上手くて面白い! さらに本作は小学校6年生の男の子の視点で描かれているので、小学校高学年、中学生でも楽しめそうです。 課題図書とかにしたら面白い感想文書けそうだけど、内容的にダメかなw? 男の子の成長。 家族。 というテーマを軸にしたハートウォーミングな物語でありながら、 社会とは、国とは? 日々無意識に享受しつつ組み込まれている国という体制、仕組みについても考えさせられます。 主人公・二郎の目を通して描かれる物語の主役は、元過激派でその世界では伝説的な人物として崇められている父親。 前半、東京編ではただ毎日家でぐうたらして先生や学校相手に悶着を起こす困ったやつですが、後半は無茶苦茶カッコイイヒーローです。 ってここからが感想なんだけど長いなw 軽めに。 前半は「上原二郎の憂鬱」とサブタイつけたくなります。 不良中学生との揉め事に巻き込まれるわ、ダメ親父は学校と揉めごとを起こすわ、居候のオジサンに犯罪の片棒を担がされるわ、と踏んだり蹴ったり、泣きっ面に蜂状態。 しかし12歳の男の子らしい活発さと正直さ優しさを兼ね備えたイイ子。 今時こんな小学生いるのか?って疑問を抱かずにはいられませんがw 子供の頃って自分の家が当たり前でどこの家も当然そうだと思っていたりとか、自転車で行ける範囲が世界の全てだったりとか、そういうことを懐かしく思い出しました。 徐々に周りが見えるようになって、大人の世界にも片足を突っ込みだすお年頃です。 そういう微妙なところに立ってる少年の日常と感情が上手く書かれていて、読んでてキュッとさせられました。 ・・・キュッとって何だw? なんというか懐かしいのと当時の自分を思い出すとちょっと切なくなるというか痛々しくなるというか、、、そんな感じ。 後半、一家で西表島に移住します。 島の人たちがかなり友好的で開けっぴろげで、さすがに現実はこんな風には受け入れてくれないでしょw それでも都会の人と島の人とではそれくらい人と人との距離感が違うのはちょっとした旅行でも感じます。 この小説読んで南の島移住願望がますます高まってきた。 そろそろ本気でプラン立てようかな。 ここからの親父はまさに水を得た魚。 母親や姉までも感化され、大人たちは生き生きと原始的生活を楽しんでいます。 二郎と妹の桃子は半ば放ったらかしに。 でもそれでいいんだろうなー、と思います。 大人がカッコよくて生き生きした姿を子供に見せることって一番の教育なのではないだろうか。 あと愛情。 物語を通して、徐々に父親の過去や本来の姿、考えが明らかになっていき、二郎の父親を見る目も変わっていきます。 思想そのものは賛同できませんが、ただ漠然と生活のために生きているのではなく、自分の信念を持って相手が誰であろうと一貫してそれを貫く姿はホントかっこいい。 平良ストアでのおばちゃんとのやりとりがちょっと皮肉でもあって面白かったです。 80円で日本全国2日で手紙が届く、そんな素晴らしい国でもあるんですよ、お父さん。 小説の父親のイメージは豊川悦司さんとはちょっと違う気もしますが、これは映画になったらとても面白そうなお話ですね。 期待。    

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