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カテゴリ:スェーデンの冬
元旦のストックホルムの湾。 ここはまだ氷はうっすらとしか張っていない。 暖冬で南に引っ越していない白鳥が数羽、 散歩人を見かけると餌欲しさにやって来る。 今朝方までのドンちゃん騒ぎのあとで、新年の朝のストックホルムはブキミなほど静まり返っている。 全国民二日酔いのここでは、新鮮な気持ちで元旦の朝を迎えるという習慣は無いので一月一日は皆家でだらだらして過ごす。 寝坊しても良い日に限ってFrejaは早く目が覚めてしまうのが玉に瑕だ。 9時に起きて朝日を眺めながら初ジョギングでもしてみようか、という気になったが、新年早々疲れてもショウガナイと思い、だらける事にした。 日本の新年とは正反対の気構えだが、業に入ったら郷に従えと言うではないか。 ジョギング? そうそう、昨年、もう2週間も前の話だがFrejaは神に会ったのである。 いろんな医者の間を巡礼した後、足を曲げるなとまで言われてしまったが、その神は年のころ60歳、ありふれた名前のありふれた容貌で、神にでもすがる思いだったFrejaは最初は気抜けしてしまった。 最初に色んなポーズで撮ったレントゲン写真を超拡大で見せながらドクターは言ったのだ。 「ここにカルスが出来てるだろう」 あ、本当だ! 折れた骨の端にちいさなもやもやがいくつも出来ている! Frejaは感動しながら骨のベイビーを見つめた。 三ヶ月も経ってからようやく骨は成長し始めたのだ。 「いつになったら足を曲げてもいいでしょうか?」 ドクターは不思議そうな顔をする。 「今だって曲げてるじゃあないか。」 そりゃそうだ。 ここまで歩いてきたんだし。 足は普通は曲がってるんだ。 「じゃ、普通に歩いても大丈夫?」 「ああ、タンゴも踊れるだろう」 ?? 「私はタンゴなんて古いダンスは踊れませんが、じゃあジムトレーニングは?」 「足が痛くなけりゃあ大丈夫だろう」 でも写真ではまだ骨は折れてるのに...いや、余計な事は聞かないほうが良いか。 「じゃあ、クリスマスにスキーをしても大丈夫?」 ちょっと飛躍しすぎたかな? 「ああ、足が痛くなけりゃアルペンでもクロスカントリーでも大丈夫だ」 !! 「じゃあ、ランニングは?」 ドクターは少し考えてから言う。 ランニングとジャンプは禁物のハズだった。 「足が痛くなきゃ大丈夫だろう。」 ドクターに後光が差しているのが見えた でも直ぐにでも診察室を出て走ろう、と私の顔に書いてあったのか 「でも始めはランニングマシンか散歩位にして、痛くないように慎重にしなさい。」 と付け加える。 「じゃあ、痛くなかったらマラソンも大丈夫?」 「痛くなかったら大丈夫だろう。わたしゃあマラソンは走れないけどね。」 つまり痛くなければ何をしても大丈夫って事らしい。 「ドクターだって今からトレーニングすればマラソンも無理じゃあないって。」 骨が元の状態に戻るのには一年かかるが、衝撃で骨が飛び出したり、又折れたりと言う事は無い、とドクターは言い切った。 3万もの大金を払った価値があったFrejaは喜びのあまり目頭が熱くなりドクターに抱きつく所だったが、直ぐに考えを変えてかわりに診察室を飛び出しジムの自転車こぎのパスに行った。 クリスマスにスキーで7,5kmのルートを周ったが足は痛くならなかった。 雪があったのが一日だけなのが残念な所だ。 マシンで2kmだけ試しに走ってみたが、足は痛くならなかった。 ただ足首が固くなって、走り方をすっかり忘れてしまったようだ。 昨日は湾まで20分だけジョギングをしたが、左足を引きずって走っている。 リハビリには相当時間が掛かりそうだ。 初心者レベルのFrejaになってしまった訳だが、足は痛くないと呪文をかけて春までにはなんとかまともに走れるようになりたいものだ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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