本当かなあ、 長男編
これが長男の部屋だ!ガールフレンドが来るので片付けをした直後!である。スタジオを追い出されて家に持ち帰ったドラムや音響装置がきちんと奥に積まれているが、後はナポリのゴミ収集場、といった光景だ。 この部屋でサボテンもとうとう枯れてしまったが、 長男に言わせると、掃除しても又汚れるから必要なし。 ベッドは毎晩使うのだからメイクの必要なし。高価な次男の物とは違い、コンピューターや服はどこかで見つけてきたボロか中古の安物だ。 昨冬は同級生が忘れていったジャケットを愛用して過ごした。さすが血を分けた息子だ。先週の土曜に2度目の大学入試資格試験に行ったが、 晩まで勉強していた次男とは違って、パーティーに行って帰ってきたのは夜中の一時過ぎ。 勿論勉強なんかしてない。朝は食事をする暇も無く、鉛筆と定規を一本ポケットに突っ込んであわてて出かけていった。この試験は一年に二回あり、高校生でも大人でも、高齢者でもお金さえ払えば誰でも受けられる。高校の成績で進学したくない(出来ない)人は、この試験の結果でも入学申請できる。科目は国語、単語(これが難しいんだ!)、数学、統計、英語に分かれ、 解答は選択だ。最高得点の偏差値は2.0。最低は勿論0。平均は0.9。ちなみに新プリンスのダニエルは0.2だったと言う。 選択肢が5つあったとして、全問適当に答えても0.4の確立だから彼は余程運が悪かったのだろう。今までに全問正解はスェーデン全土で9人しかいないそうだ。一年前の前回は高熱(豚インフルエンザ?)をおして行ったが、まずまずの1,6点だった。それでストックホルムの優秀な高校生リストにギリギリで載ったらしい。試験では解答用紙を2枚くれるので、一枚は持ち帰ってネットで自己採点が出来る。帰ってきた息子達は早速採点したが、早く遊びに行きたい長男はさっさとチェックすると「去年と同じくらいだった。 英語が半分も間違ってた。」とけろっとした顔で出かけていった。それを聞きつけた次男は不思議な表情に。「英語は難しくなかったのに。 僕は満点だったよ。」それを聞きつけただんながやって来て、次男と一緒に長男の解答用紙を再チェック。「何だ、英語は全部合ってるじゃあないか!」 宝くじの一等賞をふと思い出した。いい加減な長男は解答をひとつずつずらしてチェックしてしまったらしい。それでダンナと次男で去年の偏差値を元に計算したら結果はなんと1,9以上になった。って事は、どこの大学のどこの学部でも入学出来る、って事になる。一番難関のあのカロリンスカ医学部も入学資格は1,9だった。さすが血を分けた息子だ。興奮したダンナは帰ってきた長男に喜び勇んでその事を伝えたが、 当の長男は格別うれしそうな顔もせずに「医者なんかになるのはいやだよ。」そういえば彼は哲学者になりたいなんて言っていたっけ。 それとも郵便配達人をずっと続けたいのだろうか?「僕は天文学が勉強したいなあ」またカネに縁の無いことばかり言ってる!それを横目で見ながら次男はつぶやいた。「2年後にはにいちゃんの点数を上回ってやる」それなら老後の安楽生活は次男にかけるか。なかなか子離れする積もりの無い親である。