あつらえの着物の依頼があり資料を揃えていたら、30年くらい前の染め見本が出てきた。当時のお客様の姿と、その頃の自分自身の仕事の様子や工夫のあとが見えてきた。
あのころは生地の上に実際に染めて見本をつくり、それを台紙に貼ってお客様に見てもらっていた。その前(40年前)はポスターカラーで紙の上に図案を描いて見てもらっていた。
今はパソコンで描いてプリントして見てもらっている。あれこれ感想と意見を聞いてのち、お客様の希望をまとめると、能登にゆかりの朱鷺をメインにして扇面に花を入れることになった。
この季節、外出することもなく、静かにパソコンに向かって図案を描くのに良い。色や模様の変更もPC上で楽になった。そして色つき図案が決まって、お客様の寸法に従って原寸大の作業図案を描く。 しかし実際の生地の上で染めて、ミリ単位の細かい模様を描くのには問題が出てきている。私の目も集中力も長時間は続かなくなったことだ(--;
このさき、何枚の着物を染めることができるだろうか?もしかすると、自分で納得できるレベルの仕事は、これが最後になるかもしれない。美しい線が染められなくなったら筆を置こうと決めている。
そんな危機感を持ちながら、だからこそ一枚の着物を創ること、悩んだり苦しんだりすることも含めて楽しんで染めていこうと思う。これが最後かも?と思えば、頑張れるかな(^^ゞ | |