このところSDGsの取り組みの浸透がみられ、私たちの暮らす能登にも広がってきた。ウチの工房も草木染を行い染めに使う植物を栽培しているというので、関連の事業に取り組まれることもある。
草木染の講習でSDGsの内容を話すと、昔ながらの日本人の田舎の暮らしが結びついてくる。草木染を創作に使っているが、根底には、子供のころからの貧しい暮らしの中で育まれた、再利用や再生に繋がる作業の仕方だ。
土から生まれ土に還る、それが、この田舎の暮らしの昔から染みついた生き方のように思ってきた。・・・ふと、逆に理念や意識もない田舎の老人まで取り込んでいくのが、SDGsの凄さかな、と思って笑った(^^ゞ

去年の藍のこぼれ種が発芽

紅花丸葉の藍の芽

こちらは白花で長い葉の藍の種子を蒔いた

土に還っていく
染色の仕事に就いたころから50年ほどの間に、私の暮らしも仕事の中身も変わってきた。染料や顔料の絵の具もカドミュムイエローや、コバルトブルー、ジンクホワイト等という石油化学工業の公害金属の産物だった。衣服の染めも繊維も石油化学産業による恩恵は数え切れないし、大量生産のおかげで安く手に入る品も多い。生活を豊かくしてくれる工夫の産物でもあった。
石油化学を悪者にすることではない、害毒を吐き出すのではなく自然に融けて無害になる品を作れば良いのだろう。人間の工夫を積み重ねた《ものづくりの歴史》は、それをもクリアできるはずだ'(^^
田舎ではできないことがあるから京都で10年間染色の仕事をして、20歳代を過ごした。30歳のとき止むを得ず故郷に帰ってきて、着物を染めて40年が過ぎた。
そして気が付くとロウケツ染めと絞りの草木染の工程を、自分たちの手で出来るようになった。それが凄く恵まれたことだと思えるようになったのは最近だ(笑) そこへ頭と気持ちが辿り着くまでに50年ほどかかったみたい・・・そして70歳を迎え、あと少ししか仕事ができないことに気づいた。・・・やがて私が土に還るのだ(^^; | |