ドイツ訪問のご報告
4月2日~4日、2泊3日でドイツの友人を訪ねてきました。友人の名前はモナ。昨年の夏、Culdeesにボランティアとして2~3週間滞在されていた間に仲良くなった方で、私たち農哲学院の活動に興味を持ってくださり今年2月には私たちに会いにまたCuldeesに立ち寄ってくださり、それから親しくさせていただいています。彼女は旧東ドイツ出身、べルリンの壁崩壊の激動のドイツを経験されました。17歳で結婚、その後、2人の男の子を出産、子育てしながら記者や看護婦、障害者支援、幼稚園の校長先生、レストラン経営・・・などなど旧西ドイツとの経済格差で大変な生活を強いられながらも、どんどん新しいことにチャレンジしては多彩な才能を発揮し、休む間もないほどに家族と仕事のために働いてこられました。そんな生活の中で、レストラン経営の失敗、夫との離婚をへて一時はどん底まで落ち込んだのですが、今は2人の息子も二十歳を過ぎ、これからは自分が何のために、どんな風に生きていくかを模索するため、ボランティアで働きながら世界を旅してみようと決め、リュックひとつ背負って最初に訪れたのがスコットランドだったようです。・・・彼女にはじめて出会ったときは、そんな彼女の背景は知らなかったのですが、彼女の仕事に対する姿勢や周りの人へのしなやかな思いやりなど苦労を知る人独特の深いやさしさを感じていました。もちろん、すぐに大好きになりました!いろいろ話をしていくうちに、実は彼女は現在、教会の建物を安く借りて(月150ユーロ、日本円では約2万円)一人暮らしをしているとか。そこは5つのベットルーム、キッチン、リビングルーム、屋根裏の広い空間、礼拝堂、と一人では広すぎる物件で、将来はそこで仲間と何か出来たら・・・と考えているとか。庭も広いから畑をしてみたいと計画しているとの事。なあんだ、そんなことならモナの家をそのまま農哲学院ドイツキャンパスにしてもらえたら素敵!とひらめき、早速私たちの計画、想いを説明して、彼女の家を見学させていただくことになったのです。そんな流れで行った、初めてのドイツ訪問です。モナの家はベルリンから東に向かって車で1時間ほどの距離。都会から程よい距離で学校にするにはちょうどよさそう。静かで落ち着いた雰囲気の小さな田舎町に入り・・・村の教会でもあるモナの家に到着しました。反対側から見た様子。教会の鐘があります。このように家の周りには広い敷地があり、そばに小川があるので畑作りにはぴったり。とってもいい場所じゃあないですか!やっぱり縁があったんだなぁ~はるばる来てよかった。早速ここでの学校づくりのプランを立ててみようと思っていると、モナが案内したい場所があるというのでついていってみることに。そこはモナのうちから車で5分ほどの距離。周りはなあ~んにも無い広大な畑用地の中・・・ポツリとその物件はあるのでした。・・・ここはまだ私が仕事をしているときから目をつけていた物件で、いつか買い取って仲間と何かはじめられたら素敵だなって思っていた場所なの。いいところでしょ?しかも値段は土地も含めて14,000ユーロ(190万円)、安いでしょ?私たちは思わず大興奮してしまいました!広い敷地は約一町歩(10000平方メートル)あるでしょうか。その敷地にまだ基礎がしっかりしたレンガ立ての大きな建物が悠然と建っていました。その母屋を真ん中にしてコの字型に2つの大きな倉庫があります。左が倉庫。右が母屋。左が母屋。右がもうひとつの倉庫。倉庫、正面からみた様子。もうひとつの倉庫。敷地を道から見た様子。近くには川も流れています。屋敷は木で囲まれて素敵です。電気も水道も通っているし、学校にするのにこれ以上の理想的な場所があるでしょうか?!こういう場所こそ学校として使用するべきでしょう。生徒と一緒に建物を改装することからはじめたら建築の勉強にもなります。倉庫も立て直して宿泊できるようにすれば、20~30人は住めるようになりそうです。またこの物件の周りの農地はしばらく使われていないらしいので交渉すればかなりの規模の農地も手に入りそうです。お隣さんは300メートルほど離れたところにポツンと一軒あるだけ。その方はモナの知り合いで、親切で気のいい人だとか。・・・ここに出会うために、今回、ドイツに来たんだ!!!天はちゃんと用意してくださるんだな、と実感。私たちは早速、モナにここの土地の持ち主と交渉してもらうようにお願いしました。できるなら夏ぐらいからここの改装に取り掛かりたいところです。しばらくはモナの家から通わせてもらって作業をはじめ、寝泊りできるようになったら早速引越しして住み込みで作業するという段取りでいこう!・・・もう計画はばっちりです。後は行動あるのみです。・・・もちろんスコットランドを忘れているわけではありません。同時進行で進めていく予定ですので、いつものように行ったり来たりの忙しい日々になることでしょう。どなたかここで一緒に作業したい方、いらっしゃいませんか?ワクワク、ドキドキの楽しい日々が待っていますよ!きっと、もう作業してくださる方が世界のどこかで準備していてくださっているんだと信じて待っています。それは自分だ!と、ピンときたら連絡くださいね!興奮冷めやらぬまま、次はモナの息子とその彼女がポーランドとの国境の川まで案内してくれました。国境はモナの家からほんの15分ほどの距離で、ただ橋が架かっているだけ、何のチェックもなくすんなりポーランドに入国することが出来ます。この川は2月から5月の間だけ水かさが増えて河川敷は水浸しになるんだとか。ここにこっそり米をまいて稲作が出来るか実験したら面白いかも!突然ここに黄金の田んぼが出現したら、ドイツ人もポーランド人もびっくりするでしょうね!ここは夏の気温など考慮しても、米が育つ絶好の環境です。ドイツとポーランドで米作りをして田舎の村おこしができたらここに住む若者たちに希望のもてる未来を見せてあげられるかも。農業は、面白くて楽しくて深くて、美味しい職業なんだっていうことに気づいてもらえるチャンスになると思います。モナの息子、ヤコブは大工志望の23歳。その彼女、モナ(お母さんのモナとつづりは違うけど同じ呼び名!)は現在、学校で農業を学ぶ学生。これから一緒に活動するのにぴったりのカップルだと感じました。素朴で温かい雰囲気をかもし出す二人に、これから農哲学院の主力スタッフになってくれることを願っています。愚道さん、モナ、ヤコブさっそくモナ(母)とヤコブは親子で9月ぐらいに日本に訪れ、農哲学院を体験したいと希望されているので、縁はどんどんつながっていきそうです。特にヤコブは大工志望ということで、最近福井でお世話になっている宮大工さんに紹介できたら素敵だな、と考えています。日本で修行できて一人前になれたら、きっとどこに行っても重宝されるいい大工さんになれるでしょう。夢が大きく膨らんで、帰路につきました。最後の夜、モナが夕食を用意してくれました。私たちのためにモナの友人たちが遊びに来てくれて、小さなパーティーが開かれました。楽しいひと時を過ごさせていただきました。飾らない、素朴で純情、温かくて親切、思いやりがさりげない、無駄口しない・・・日本の田舎をたずねたような雰囲気でした。ドイツは西洋の国だけど、日本人に近い感覚があるな、という感じがしました。初めて訪れたドイツだったけど、気持ちがとっても近くなりました。この仲間たちと協力して自分たちで学校を作り上げていくんだと思うとうれしくて、またすぐにここに戻ってきたくなりました。モナとの出会いに感謝です。ドイツとの出会いにも感謝です。今は私のいのちの無限の可能性を信じて、実践あるのみです。いただき繕を行じながら、自然の声に耳を傾け、すべてのいのちと対話していれば自然に道が開けてくること、日々実感します。自分の願いをかなえることに躊躇しないで一途にいきます!自分の可能性を開くことはほかのいのちに対する責任でもあると思うからです。せっかく人間なのに、人間としての生き方をしないなんてもったいないし、ほかのいのちに対しても失礼だと感じています。自分がどこに、どんな風に運ばれて、どんなことを成すのか、どんな存在になるのか、そしてどんな死に方をするのか、自分に興味深々です。この先、ドイツがどう展開していくのか、乞うご期待!(一静)