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2003/07/26
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24日(木)にはテアトル新宿で『ナイン・ソウルズ』&帝劇で『レ・ミゼラブル』(2回目)を、25日(金)には池袋の新文芸坐でFotRとTTT(<共に字幕版)をハシゴ鑑賞しました。

まず、『ナイン・ソウルズ』。
豊田利晃監督の映画を観るのは、松本大洋氏のコミックスが原作の『青い春』を観て以来2本目。
外界から隔絶されたような学校の中で繰り広げられる、男子高校生達のやり場のない危うい精神やかなわない夢の果てを描いた『青い春』は、かなり衝撃度の強い作品でした。
当時、同じ松本大洋原作の映画『ピンポン』も公開されていて、両作品共に幼なじみの高校生2人の人間関係を主軸にした話でありながら、こうも肌合いの違う映画になるものかと比較して観たことも、インパクトの強さに拍車をかけたのかもしれません。
『ナイン・ソウルズ』は、その豊田監督の作品と言うことで観に行ったんですが、個人的には『青い春』の方が、自己のアイデンティティを模索する登場人物達の心理描写に引き込まれる度合いは強かったです。
ただ、監獄からシャバへ脱走した9人の囚人達が、それぞれが目指すものを求めて一人二人と画面から消えていく様子は、どこか『青い春』にも通ずるテーマ性を持っているような気がしました。
短絡的なようで複雑、小ズルイようで不器用、残酷なようで人情深い人の持つ不可思議な内面を抱えて、目に見える檻の中から飛び出し、目に見えないしがらみが張り巡らされた世界の中で、自分の居場所を求めてあがく登場人物達の姿が滑稽でもあり物悲しくもあり。

ところで、冒頭での登場人物達の刑歴を紹介するシーンの音楽と映像はかなりカッコ良かった!
使われていた音楽も似たような系統のロック(?)だったし、ああ言う見せ方も『青い春』とちょっと似てたなぁ。
もしかして豊田監督の映画は、あのちょっとファンタジーが入ったような、ドライでもありウェットでもあるスタイルが特徴的…なのかな?
役者陣もクセのある面構えの俳優ばかりで、そんなクセ者揃いの中でのマメ山田さんの存在は、まるで一服の清涼剤のような癒し効果が。
松田龍平くんは、相変わらず目そのものにインパクトがあったし、自分にとっては『御法度』『青い春』ときて今回が3本目の出演作鑑賞になるけれど、回を重ねるごとに纏う雰囲気が研ぎ澄まされてきているようで、役者としてどんどん成長しているように感じました。

そして同じ脱獄囚もの(<…と言っていいのだろうか/汗)とは言え、対照的な内容の『レ・ミゼラブル』。
出演:山口祐一郎(ジャン・バルジャン)、今拓哉(ジャベール)、ANZA(エポニーヌ)、河野由佳(コゼット)、岡田浩暉(マリウス)、坂元健児(アンジョルラス)、駒田一(テナルディエ)、峰さを理(テナルディエの妻)、高橋由美子(ファンテーヌ)、局田奈都子(ガブローシュ)、伊藤俊彦(グランテール)、他。

急遽、チケットを手に入れて観に行った2回目鑑賞の山口バルジャン。
今回のキャストでの前回との比較ポイントは、ANZAエポニーヌ、河野コゼット、坂元アンジョルラス、高橋ファンテーヌ、伊藤グランテールの5名。
今のところこの5人のキャストに関しては、坂本エポニーヌ、剱持コゼット、吉野アンジョルラス、高橋ファンテーヌ、伊藤グランテールの歌声の方が個人的には好み。
………って言うか、21世紀版アンジョルラス………私的にはちょっとハズレ?みたいな~(…撃沈)。
いやっ、でもっ、もう1回、吉野アンジョルラスを観てみないとわかんないし!…わかんないけど、もしかしなくても自分的レ・ミゼの見所ポイントがかなり減ってしまったのはほぼ確定…かも…(悔)。
とにかく坂元アンジョルラスに関しては、全てにおいて私が期待していたものとは全く違うタイプだったことだけは確かだわ(涙)。
第一幕の折り返し地点でのパリの乞食たちの歌「The Beggars」の途中で、マリウスと共に颯爽と登場する今アンジョルラスの第一声の歌声に惚れ込んで何度も帝劇に足を運んだ2000~2001年の冬。
今まではアンジョルラスと言えば岡幸二郎さんのバージョンがスタンダードだったし、そのことを踏まえた上で、私は今拓哉さんの演じる、原作にも通ずるようなカリスマ全開のアンジョルラスが大好きだったんだよぉぉぉ…(号泣)。
どちらにしろ21世紀版のアンジョルラスには、学生革命家達のリーダーとしてのカリスマ的存在感がイマイチ感じられなくて、岡田マリウスの歌声の方がよほど魅力的でございましたよ…(涙)。

そして今回の大注目だった高橋ファンテーヌは、思っていたよりもいい感じで、しかも系統的には鈴木ほのかさんに近かった!(嬉)
ビジュアルは井料ファンテーヌよりも可愛らしいのに、声質に包容力があってかなり好み♪
ただ、やっぱりちょっと小柄なので、山口バルジャンと並ぶとまるで大人と子供のようだったけれど…(苦笑)。
そして21世紀版レ・ミゼの真のアイドルは、実はコゼットではなくファンテーヌだった!?
3回目?ぐらいのカーテンコールで、駒田テナルディエと今ジャベールに軽々と両脇を取られて舞台上に連行されて来た後、怒ったように2人をポコポコと殴る高橋ファンテーヌはむちゃくちゃ可愛らしかった♪♪♪

ところで、雑誌『ミュージカル』7月号に掲載されていた演出のジョン・ケアード氏のインタビューによると、元々はオリジナル版のレ・ミゼも上演時間が3時間を越える長いバージョンだったとのこと。
ブロードウェイ版の出演者やスタッフに支払われる3時間を越える超過勤務手当ての関係から、12分縮めて3時間以内にまとめた新演出に変えたとのことでしたが、それなら私がこの冬にロンドンで観たレ・ミゼは、その新バージョンだったってことなのね?
………ブロードウェイ版のおかげで、あのお気に入りの演出の数々が消えてしまったのか…(悔)なのに肝心のアメリカでは、この冬でレ・ミゼは閉幕しちゃったじゃないの!(怒泣)
基本的に、レ・ミゼの話や登場人物達はもちろん、歌や音楽が大好きだからたとえ演出が変わっても好きな作品には変わりはないけれど、あの遊びや間に慣れ親しんだ身にとっては、叙情性が欠けてしまったように感じるのはどうしても否めないんだよなぁ…(涙)。

最後はFotRとTTT。
もう、何回も何回も何回も何回も劇場でもDVDでも飽きる程観まくっていると言うのに、正味約6時間もの長丁場を全く苦に感じないとは、ここまでくると呆れるのを通り越して我ながら感心してしまう(苦笑)。
そして今回、初めてFotRとTTTを連続鑑賞してみて、自分は心底アラゴルンファンだから彼の活躍を堪能するなら断然TTTだけれど、作品そのものを楽しむのならFotRの方が好きかもなぁと改めて認識してみたり。
誰のファンと言う以前に、指輪を捨てる辛い道行きを共に旅した9人の仲間達みんなが大好きだし、観ている間中、冒険譚のようなワクワク感やサスペンスのようなドキドキ感、そして人間ドラマでホロリとさせられる自分好みの映画の醍醐味がぎゅうぎゅうに詰まっていて感動したのがFotRだったし。
あと、FotRではまだフロドの自我がはっきりとしていて、支えてくれる仲間達がたくさんいたから、彼の痛々しい姿をそんなに見なくてもすんだし。
RotKではさらに痛々しいんだろうなぁ、フロド…(涙)。
サムがガッチリと支えてくれるだろうから、それだけが唯一の救いだわ。
痛々しいと言えば、大きい人サイドではやっぱりファラミアがむちゃくちゃ気になる。
前に海外のHPにアップされていたデネソールのオヤジ殿の画像を見たけれど、これがまた蛇に睨まれたカエルの如く、ひと睨みされたらその場で固まってしまいそうな感じのアクの強い神経質そうなコワオモテだった(涙)。
………頑張れ大将、負けるな大将!
最悪の試練を乗り越えられれば、その先には最高の祝福が待ってるぞ~!!





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Last updated  2003/07/27 09:21:21 PM
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