大学選手権決勝 帝京ー早稲田 オン・ザ・ボールに執念を見た
【大学選手権決勝】 帝京大学 17-12 早稲田大学 帝京が2連覇! 見応えのあるすごい試合でした。 「オン・ザ・ボールの強さ」 試合を見終わった時の印象です。 すべてはここに集約されていたように思います。 ラグビーでは一つのボールを保持し、前進するためグラウンドにいる30人がボールを奪い合います。様々なところにプレッシャーは存在しますが、そのもっとも圧力のかかる場所を“コンテストスポット”と呼びます。 ブレイクダウンで、どこにコンテストスポットができるか。 それはボールの真上、ボールの前のスペースでしょう。 この争いの能力の差が、5点という得点差になったと思います。 早稲田としては、もっと速く、もっと広くボールを動かしたかったと思います。ただ、コンテストスポットに、今まで経験したことのないプレッシャーがかかったことで、本来であればデコイに立つ選手がブレイクダウンに吸い込まれ、アタックラインが浅くなってしまった。結果、アタックの幅が狭くなり帝京のディフェンスが勝りました。 逆に帝京のアタックは、どのテンポでもオン・ザ・ボールが緩くなることはなかった。早稲田もスローボールの対して頑張ってブローしましたが、あそこは難しい判断でした。結果論でしか語れません。確定したブレイクダウンにブローすることで、ディフェンスの人数が吸い込まれ、ラインディフェンスが短くなってしまったという側面がある一方で、あそこで打ち込まなければどこでプレッシャーをかけるの?という話もありますし。僕個人としては、プレッシャーをかけて正解だったと思います。 一つ付け加えるならば、9番滑川君にはプレッシャーがかかっていなかった。誰をパニックにさせるべきだったのか?ブラインドサイドのポストプレーヤーは素早く前に出て、少しでも滑川君にコミットしていくべきだったのではないでしょうか。 高校も大学も、ファイナルという極限状況では人間の根底にあるものが試されますね。どの段階でチームより個人を優先させてしまうのか。きれいごとでは済まされない世界です。やっぱり最後は執念とか、克己とか、そういうところに行き着くのでしょう。フィールドにいる15人もそうですし、スタッフ、そしてサポートしている人たち全ての想いが80分という時間に凝縮される。 やっぱりラグビーっていいっすね! 最高の決勝戦だったと思います。