2017夏の高校野球を振り返る
皆さまこんにちは。今日は夏の高校野球について振り返ろうと思います。今大会の話題はやはり本塁打数でしょうか?これまでの60本(平成18年)の記録を大幅に更新する68本の本塁打が出ました。巷では清宮ボールだのなんだの言われていますが、共通して言えることは、各打者がブレずにしっかりと打てているということです。初日の段階で5本の本塁打が飛び出し、中京大中京(愛知)×広陵(広島)の試合から盛岡大付(岩手)×松商学園(長野)の試合まで16試合連続で本塁打が出たこともありました。このペースで行けば、ひょっとしたら70本もあるかなと思いましたが、結局は68本に終わりました。また一試合で2つの満塁本塁打、それも同じイニングの表裏の回に出た試合もありました。盛岡大付と済美(愛媛)の試合がそうですが、5回表に盛岡大付の小林が放つと、その裏お返しにと済美の吉岡が放ちます。結局この試合は5本塁打が飛び出し、盛岡大付の植田が起死回生の同点本塁打と、延長10回にダメ押しとなる二打席連続となる本塁打(3ラン)を放つなど、まさに空中戦でした。そして一大会の記録では広陵の中村が6本塁打を放ちました。これはあのPL学園(大阪)の清原が記録した5本塁打をも上回る記録です。その他一大会最多塁打記録も更新するなどまさに打高投低の大会でした。そんな大会を締めくくったのは花咲徳栄(埼玉)でした。このチームも6試合で61得点を上げ、1試合で必ず9点を上げるというまさに打撃のチームでしたが、意外にも本塁打は4番野村が放った2本塁打のみ。いかに全員がしっかりと振り抜く打撃をしていたかがよくわかります。そしてこれも意外なのですが、打高投低の大会で花咲徳栄は綱脇と清水の両投手が6試合を継投で投げたのですが、被本塁打は1本のみ。花咲徳栄は打撃だけでなく、投手陣もそれなりにしっかりしていたことがわかります。ベスト4には天理(奈良)と東海大菅生(西東京)が残りました。天理がここまで残るのは意外でした。最後も広陵相手に9回ウラに3点を入れ粘りましたし、この試合でも敗れはしましたが19安打を放ちました。東海大菅生は予選で日大三と早稲田実を直接対決で破って出てきただけにどこまで行くのか注目されましたが、実力を遺憾なく発揮してくれました。準々決勝までの3試合で7本塁打を放ち、失点も1試合平均1失点と投打ともに圧倒した形でベスト4に勝ち名乗りを上げました。準決勝は同じ関東勢の花咲徳栄でしたが、この試合はこれまでと違い接戦となり、8回表に2点を勝ち越されますが、9回ウラにその2点差を追いつき粘りを見せます。結局延長11回に勝ち越しをされるのですが、優勝した花咲徳栄を一番苦しめたのはこの東海大菅生でした。敗れはしましたが、清宮も櫻井も納得したのではないのでしょうか?あとは三本松(香川)の活躍や彦根東(滋賀)の戦いぶりも注目されました。今年の公立校はわずか8校。その中でこの2校が勝ち星を上げました。特に三本松は3回戦で二松学舎大付(東東京)に勝ちました。続く準々決勝でも東京勢撃破と行きたいところでしたが、最後はそんなに甘くはありませんでした。彦根東も開幕戦の波佐見(長崎)戦で9回ウラの見事な同点劇を演じてくれましたし、2回戦の青森山田戦も9回ウラに背番号18の仲川が本塁打を放つなど、進学校らしからぬ戦いぶりを見せてくれました。あと衝撃だったのは大阪桐蔭が仙台育英(宮城)に9回2死から逆転サヨナラ負けを喫した試合です。仙台育英の渡部捕手の一塁への走塁が物議を醸していますが、結局は大阪桐蔭が仙台育英の長谷川を打てなかっただけの話。ある程度得点を重ねておけばこんなプレーがあっても、別に何ら問題が起こらかったはずです。また明豊(大分)と神村学園(鹿児島)の九州対決もびっくりしました。まずは神村学園が9回表に3点差を追いつくと、その後延長12回表に3点を勝ち越し、これで試合は決まったかのように見えました。ところが明豊はその裏2死ランナー無しからなんと同点に追いつき、最後は押し出しで試合終了。あっけない幕切れになったと同時に神村学園の金城投手がかわいそうでした。だけど彼はまだ2年生。来年に向けて今は必死に練習をしていることでしょう。この悔しさをバネにしてほしいものです。その明豊は次の天理戦でも9回ウラに代打三好が大会史上初の代打満塁本塁打という記録を作るなど、この回だけで6点を取り、10点差を4点差にまで縮めました。いかにこのチームが打撃のチームであるかがよくわかります(初戦は7対6で坂井(福井)に勝っています)。残念だったのは、前評判の高い学校を破りながら甲子園で力を発揮できなかった学校です。一番の典型が東筑(福岡)です。決勝であの三浦と古賀のバッテリーを擁する福岡大大濠を決勝で3対1で退け、エースの石田も福岡大会を一人で投げ抜いただけにどんな戦いをするのか期待をしていたのですが、済美相手には荷が重すぎたのか、あれほど福岡大会では精密機械ばりだったコントロールが甲子園ではバラバラでした。打線が13安打を放ち、一時は勝っていただけに、この石田がもう少し踏ん張っていればと思うと、甲子園で平常心を保つのは本当に難しいのだなあと感じます。土浦日大(茨城)も残念でした。県大会決勝で霞ケ浦との試合を5時間もかけながら制した粘りと強力打線も甲子園では空回り。2番手の井上投手が県大会決勝のように投げてくれるのかと思えば、松商学園打線にあっさりとつかまってしまい抑えきれず。せっかくあれだけの戦いを県大会でしてくれただけに、甲子園での試合が非常に淡白で物足りなく感じました。まあ今年は清宮ボールの疑惑があり、異常な本塁打が生まれた大会でしたが、そんな大会も花咲徳栄の優勝で幕を閉じました。明日はU18の代表について感じたことを書こうと思います。よければクリック願います。