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ニューカッスル・ユナイテッド NEWCASTLE UNITED  HOWAY THE LADS!!

ニューカッスル・ユナイテッド NEWCASTLE UNITED HOWAY THE LADS!!

すいません、酔っ払ってます

■なぜイングリッシュフットボールで、なぜニューカッスルなのか
サッカーの歴史に多少でも興味のある方は一度は聞いたことがあると思うのですが、1940年代から50年代にかけて、ヨーロッパを席巻したハンガリー代表、通称『マジック・マジャール』(英語の資料ではマイティ・マジャールというのがほとんどで、マジックというのは見たことないのですが/うんちく)のキャプテンで、後にレアル・マドリーで活躍したフェレンツ・プシュカシュという選手がおります。この人のインタビューをまとめた『Puskas on Puskas』という本がありまして、いまだにイギリスで売られている、とんでもないロングセラー本なのですが、そのなかでとても印象的な言葉がありました。
1954年のスイス・ワールドカップ、マジャールは決勝で西ドイツに敗れるのですが、不可解な判定や試合後にドイツ選手が薬物を使用していた疑惑などか持ち上がって、要するに本来ならマジャールこそが勝っていたのではないかといわれておるわけです。本のインタビュアーがそのことについて、コメントを求めたとき、プシュカシュはこう応えています。
「あの試合にやましい点は何もなかった。ドイツの選手も審判も観客も、警備員でさえ、僕らに友情を示してくれた。そもそも友情のないところにフットボールは存在しない」
ハンガリー語で友情をなんと言うのかは知りませんけど、これは英訳本なのでフレンドシップとなってました。でも個人的に一番しっくりくるのは「リスペクト」ではないかと思います。
有名な「17条のルール」(日本ではルールという言葉を使ってますが、英語では法律のLawを使います。規則よりも一段上という定義です)に象徴されるように、フットボールはシンプルなスポーツ。しかしシンプであるがゆえにさまざまな解釈が可能なわけで、それがゆえに各国それぞれが異なるスタイルや哲学を持っていますし、試合の流れによって平和にも暴力的にもなりうるスポーツなのだと思います。
シンプルで、細かいことに縛られないスポーツゆえに創造性や即興性が活かされるところがフットボールの魅力ですが、反面プレーヤーそれぞれがみずからを厳しく律しなればケガの絶えない危険なスポーツになってしまうことでしょう。ボディコンタクトを伴う競技でありながら、すねあて以外防具というものをつけないフットボールは、おたがいの暗黙の了解がなければ、かなり危険なものになってしまうのは明白です。
フットボールをひとつのコンペティションに規格した国、イングランドの「激しくともフェアであるべし」というフットボール観は暗黙の了解、すなわち「相手に対するリスペクト」がなければ成り立たないと思います。対戦相手だけでなく、審判に対する敬意がなければジャッジを受け入れることは難しいでしょうし、観客と選手の間にもリスペクトがなければ、観戦そのものが楽しみにはなりにくいはずです。監督と選手の間などはいうまでもありません。つまり、そこに集うすべての人間がたがいにリスペクトを持ってはじめてグッドゲームが成り立つわけです。 
私がイングランドのフットボールにハマったのは「グッドゲームを皆で作り上げる」という空気の心地よさではないかと思うのです。現地で試合を見るまでは、もっと殺気に満ちたものを想像していたので、実際に生観戦をした時には、いささか拍子抜けという感じだったのですが、ひとつひとつのプレーに一喜一憂しながら、熱く、でも穏やかに楽しむニューカッスルの人々に混じる楽しさは一度味わったら、やみつきでした。誰かが号令をかけるわけでもなく、自然にわきあがるチャントがスタジアム中にひろがっていくさまは、それだけで深い歴史と愛情を感じさせます。スタジアムを取り巻く空気がやわらかく、暖かく、初めての場所なのに、ミョーに懐かしい気持ちにさせてくれのるが不思議でした。イギリス人というのは日本人同様、外国人に対してあまり愛想のいい人種ではありませんが、SJPにいるときは誰と目が合っても笑みを返してくれます。皆、ものすごく幸せそうなんですよ。負けた後はさすがにへこんだ顔はしてますけど、意外とさばさばしてるのも面白いです。勝った後は最高! 皆ニコニコ顔です。セキュリティのおっちゃんと目が合うと親指立ててウインクしてくれます。タイトルがかかった試合だったら、どうなるかはわかりませんけど、勝っても負けても、騒いだりはしません。皆、連れの人たちと静かに言葉をかわしている感じ。
身びいきといわれたらそれまでですけど、ウチの人たちはすごくマナーのいい人たちなのは確かです。たとえばハーフタイムにトイレに行こうとしますよね。私が椅子からたったとたんに、出口に近い方に座っている人たちがほぼ一斉に足を引っこめてくれます(本当)。
トイレから戻ってきたときもまた同じ。「えくすきゅーずみー」という必要がまったくなく、「さんきゅー」だけでいいというのは凄く気持ちのいいものです。そういうところにも、「同じチームを応援する者同士の連帯感と敬意」か感じられるんですよ。
さらにニューカッスルのいいところは、それが街でも同じってことです。これから行かれる方におすすめしますけど、ニューカッスルで過ごすときには、試合のない日でもユニを着ておくといいですよ。あの街では黒白のシャツが最高の紹介状です(ドレスコードのあるところはもちろんNGですよ!)。むろん、黒白でサンランエリアには行っちゃダメですよ。
街を散歩するときなんかはユニ着てるといいですよー。地元民に可愛がっていただけます。お店で買い物したとき、オマケしてくれたりとかね。得体の知れないアジア人(つまり私ですが)でも、マイチームを好きになってくれるのは嬉しいものなんでしょうねえ。
もうひとつ、アドバイスしておきますと、現地民に気に入られようと、ことさらサンランをけなしたりする方がいるよーなんですが、ウチの人たちにはあまりウケませんので、止めといたほうがいいです。もちろん、あちらから「スンランをどう思う?」って聞かれたら、期待されてますので、たっぷりけなしてあげてください(笑)。ウチの人たちが一番喜ぶのは、街をほめられることですので、「びゅーてぃふる・してぃ」とか「ぐっどぷれいす」だとかゆってあげてください。それが一番喜ばれます。実際きれいですてきな街です。ご自分の目で確かめてくださいね。
話がちょっとズレましたが、いわゆる戦術オタク系のサッカーファンはイングランドのフットボールがお気に召さないみたいですよね。私自身もテレビで見るならセレソンのようなテクニックのある人たちがやるゲームのほうが面白いかもと思います。でも、生で見るなら絶対イングランド、絶対SJPだと思います。実を言うと私、初めてイングランドで生観戦したのはアーセナル@オールドトラフォードなのです。旅程の都合でそうなっちゃったんですけど、そのふたつのチームを見て、ハマらなかった私が、SJPではコロッとハマったのですから、ウチは凄いですよ(どーゆー自慢だ/笑)。
強制ではなく、歴史に育まれた、ナチュラルなリスペクトの心地よい世界にハマって以来、自分も好きなチームとその街に対して、リスペクトを持たねばならないと思うよーになりました。ニューカッスルの歴史を調べたり、チームの歴史を勉強したりするのは、今ではすっかり趣味になってますけど、私にできる最低限のチームに対するリスペクトだと思っています。歴史を読めば、ウチが名門と呼ばれておかしくないクラブであることはわかりますし、なにより、この地方がイングランド随一の名選手産地であることもわかります。自分が好きになったクラブが実はステキなチームなんだということがわかったときは、凄く嬉しかったし、それがわかればますます好きになりました。
実際の試合を見ないとわからないことがたくさんあるように、“今”だけ見ていてはわからないこともたくさんあります。なんせクラブは120年以上続いているわけですから。私たちが見ている今なんて、クラブの歴史のひとかけらでしかないわけで、それで「ニューカッスルはこうだ」とか決め付けるのは、ちゃんちゃらおかしいって気がします(ゆえに某有名掲示板のDQN呼ばわりなどは私から見ると実にちゃんちゃらおかぴーです/傲慢)。H本とかN井とかいったあたりの解説者も同類で、なんかっつーとチェルシーはこうなのに、ニューカッスルはとか抜かすんですが、歴史とプライドのあるクラブには、そのクラブ独自の文化と理想というものがあります。特にウチはただ勝てばいい、というクラブではないので、よそと同じようにすればいいというわけにはいかないんです。イングランドはそーゆーところが他国より頑なですし、今はビッグクラブの方が外国人監督の影響でヨーロッパ化してしまった分、ウチのよーなクラブは一種の聖域に入ってると思うんですよね。プレミアの上位を狙うクラブで、ウチほど地元産選手にこだわりを見せるクラブはもうないですから、逆にもっとこだわってほしいと思ってます。
ごぞんじのとおり、ウチは長くタイトルと無縁のチームです。最後のメジャータイトルが69年のフェアーズカップですから、37年間もタイトルと無縁なわけです。そんなチームが一度は破産という事態を迎えながらも復活して、今も情熱的なサポーターに支えられているのは、試合内容へのこだわりと名選手産地というプライドがあったからだと思っています。そーゆーことを無視して、ウチを語ることはとっても無意味。試合が見たいだけというなら知識は必要ないですけど、補強の方針ひとつとっても、実はウチならではのこだわりや哲学があります。そういうものがDNAに組み込まれている地元民と違い、私は勉強しないとわからないってのが凄く悔しいです。でも好きになったんだからしょーがないんですよね。でも学校の勉強と違い、好きなもののために勉強するのは楽しいです。幸運なことにウチには、クラブのオフィシャル・ヒストリアン、ポール・ジュノーがいて、歴史に関する資料や書物をたくさん書いてくれてますから、ちょっと英語を読む努力をすれば、いくらでも勉強できます。これは他のクラブと比べても、相当恵まれているはずです。
知識を得ることの何が楽しいかとゆいますと、過去を知ることで今のナゾが解けることだと思います。たとえば、ラミーとおていちゃん、どっちも地元産で期待されてますけど、ファンの期待値が大きいのはおていちゃんの方なんですよね。それがなぜなのか、私はわかったつもりでおります(笑)。
だんだん自分でも何がいいたかったのか、わからなくなってきました(すいません、酔っ払ってます)。SJPでグッドゲームを見れる幸運が皆様のもとに訪れますように。


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