おもちゃ・こども・のはら・うた

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渡辺一枝


 自由-- なんて素敵な言葉でしょう。でもそれは単に「勝手」
 とか「気まま」とかいうことではないでしょう。何ごとか、自分を
 縛るものから解き放たれることなのです。
 「縛るもの」それは自分の外にあるばかりでなく、時には自分自身
 ということもあるのです。

 「自由に遊んでいいのよ」と言われても、何をしてよいのかわから
 なければ自由ではないのです。
 力を与えてあげること、方向を示してあげること、情報をもたらせ
 てあげること、それらが子どもを「自由」に解き放つのです。


             (渡辺一枝 『時計のない保育園』より)


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≪三歳までは母親が育てるべき?≫

 実の母親に限らず、祖父母でも保母でも、
 その子の存在を受け入れ、真に愛情を持って接してくれる
 特定の大人がいること-

 お腹が空いた、オムツが汚れた、体の位置を換えて欲しい……
 など、まだ自らの欲求をそれらしく訴える術も解決する術も
 もたない赤ちゃんに、それらの「不快」を取り除いて、
 「快」に交替させてくれる人がいること、

 それらを大人の都合でなく真に子ども自身の必要を感じとって
 くれる人がいること、子ども自身の欲求に気付いてくれる大人が
 いること-

 が、大事なのです。

 そしてその大人は、そうやって赤ちゃんの世話をすることで
 その子をいとおしく思い、赤ちゃんもその人に全幅の信頼を
 寄せて触れ合いを求めること、そのような人間同士の交流が、
 人間らしく育ち、人間らしく生きていくうえでの
 基になっていくのです。

 
         (「預けて働くとき」 渡辺一枝  フレーベル館)



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 ≪かわいそう?≫


 働き続けるということが自分自身にとって本当に必要なことであれば、
 他人の言葉に動揺することはありません。

 小さな子どもを預けるのがかわいそうなのではなくて、
 まわりが「かわいそう」という目で見てしまうこと、
 大人の生活ばかりが優先して、子どもの生活がないがしろにされる
 ことなど、かわいそうと思われる環境に子どもを置くことが
 よくないことなのです。


   (『預けて働くとき』
     ~子どもを預けて働くのは「かわいそう」なこと?~ より
               著:渡辺一枝  発行:フレーベル館)

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