藤井和子人はみんなやさしくありたいと願うもののようです。やさしさの定義やイメージは、人によってそれぞれちがうので、 またまたややこしくなるのですが、ともあれ、ことわが子には やさしい気持ちでいつもいたいと思うのです。 やさしくありたいのにやさしくさせてくれない子ども。 ふだんは奥のほうにしまってふたをしている意地悪な自分を表にひっぱり出させ、 我慢強いと思っていた自分がいとも簡単にカーッとさせられてしまう--- それが子ども。 自分の心の弱さや醜さを思い知らされてみじめな気持ちにさせる、 やさしくありたい自分をおびやかす存在---それが子どもです。 このやりきれない気持ちを分かち、支える人が身近にいないとき、 子育ては孤独な格闘となり、子どもは親を脅かす存在となってしまいます。 そして知らず知らずのうちに子どもの気持ちをいたぶり、殴打し、投げ飛ばし、 虐待する親になってしまうこともあるのです。 (中略) 子どもは「かわいい天使」などと期待せず、「かわいい悪魔」くらいに考えていたほうが よいのかもしれません。 おもしろがって、子どもの背丈になって「悪魔」の言動をよく見聞きして、 子どもの世界に自分の中の子どもの部分を発見しようとするならば、 「悪魔」がときに天使に見えることもあるでしょう。 「子どもを愛せないとき、愛しすぎるとき」 より 著:藤井和子 発行:大月書店 ジャンル別一覧
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