にゃあ実ちゃんとご近所猫489
どんちゃんがまた風邪を引いた part3 その晩、どんちゃんは我が家で過ごした。夜中に何度か様子を見に行くと、疲れた様子で寝ていた。鼻が詰まっているため、呼吸は幾分苦しそうで時折鼻をすする音がしていた。翌朝ケージを覗いて見ると、座布団が水浸しになっていて悪臭が漂っていた。猫砂を使った形跡はない。隅に置いてあった水とゴハンの容器もひっくり返っている。猫砂がトイレだと気付かず、布団の上にやってしまったようだ。まずは中の掃除をしなければならない。具合が良さそうだったら外に出そうと思ったがゴハンはほとんど食べず、相変わらずグッタリしていたのでもうしばらく様子を見ることにした。濡れてしまったものをすべて処分し、どんちゃんを少しずつ動かしながら吸水シートを敷き詰めた。幸い休みに入っているので、昼間は小まめに様子をチェックできる。∞夕方になってピチャピチャ水を飲む音が聞こえたので覗いてみるとカリカリゴハンも齧り始めた。急いで柔らかゴハンを用意し、差し出すと、食べ始めた。食欲が出たのはいいことだ。∞それから1時間もしないうちに事件が起こった。どんちゃんが急に唸り出したのだ。ケージに近づくと、唸った原因がすぐにわかった。またトイレに失敗してしまったのだ。猫砂は未使用のまま。吸水シートの上で我慢できずにしてしまったらしく、お尻の辺りが濡れている。何とかしなければと思っている矢先、どんちゃんが激しく暴れた。隅にあった水が、またひっくり返る。どんちゃん、どんちゃん、と できるだけ静かに声を掛ける目の前でどんちゃんが激しく毛づくろいを始めた。首をぐいっと曲げて右の腰の辺りを強く舐めている。そのうち歯を立て、自分の腰を噛み始めた。放っておいたら大変なことになりそうだ。慌ててケージを庭への出入り口まで引きずっていき、扉を開けた。どんちゃんはケージからテラスに出ると、しばらくそこに立っていた。上着を羽織って外に出てみると、既に気温は下がって寒さが身にしみる。どんちゃんは数回、しゃがんでいる私の周りを体をこするようにして回った後、いつもの食事場所へ歩いていき、置いてあった水を飲み始めた。小一時間前にゴハンを食べたが、少量だったので追加のゴハンを持って来る。どんちゃんは勢いよく食べ始め、一握りのゴハンをあっという間に平らげてしまった。それから数分、どんちゃんはテラスにいた。外は暗く、冬の夜風が肌に突き刺さる。できればもう一晩だけでも室内で面倒見たかった。どんちゃんが出入り口付近にいる時にお尻を押して近くに置いたままのケージに入れようとしてみたが鼻先がケージに入ったところで どんちゃんはくるりと方向転換してしまった。そのうち どんちゃんは隣家との境目の柵に向かった。一旦、隣の敷地に入ると、集合住宅を囲む植え込み沿いの黒い柵に飛び乗った。元気のいいどんちゃんなら、ちょうど人の背丈程の柵の上からアスファルトの道路へと飛び降りるのだが、その日は柵の上で躊躇していた。元気な時なら、この柵から直接道路に飛び降りる(9月撮影)しばらくしても飛び降りず、やがて柵を伝って歩き始めた。端まで辿り着けば、柵の半分の高さのところに一段踏み石代わりになる場所がある。どんちゃんは時間をかけて端まで行くと、その踏み石を伝って道路に降りた。しばらく待ったが、その晩どんちゃんは戻って来なかった。 どんちゃんの風邪は快方に向かっているがかなりのストレスを与えてしまったことも事実だ。にゃあ実ちゃんに感染の危険を冒し、眠れぬ夜を過ごさせたことも本当に申し訳ないことをしたと反省している。できればクロ子やどんちゃんを家に迎えてみんな仲良く と思っていたが狭い住宅住まいでは、そんなに簡単なことではないようだ。 今回のことを病院の先生に話したら、きっとにゃあ実ちゃんの母親失格!と言われるにちがいないのでここだけの話にしておこうと思う。