続 ごめんね、にゃあ君2
第2話 用事を済ませ、同じ道を戻る。冷たいようだが、何もしてやれない以上、子猫に関わらないほうがいい。子猫がいた駐車場とは反対側の道を歩いた。しかし、子猫がその後どうしたか気にはなる。駐車場を過ぎるところで目をやったが、子猫はもういない。どこか場所を移したのだろうか。そう思いながら数メートル進むと、さっきとは反対側の私が歩いている側の電柱の陰から例の子猫が躍り出た。どうやら待ち伏せされたらしい。反対側で待ち伏せするとは、大したものだ。 しかたなく屈んで子猫を見ていると、背後で自転車が止まった。年配の女性の声がする。「あれえ、捨て猫?3ヶ月くらいだねえ。」そう言って買い物袋をガサガサさせてからレトルトパックの猫餌を2袋取り出し、私の目の前に差し出した。「これ食べさせてやって。うちはもう3匹もいて、これ以上飼えないから。」女性はそれだけ言うと、すぐにペダルをこぎ始め、あっという間にいなくなった。 差し出されるままに受け取ってしまったが、こんなところで餌やりをしているのをご近所の人に見られたら叱られるだろうか。子猫は期待を込めて鳴き続ける。見つかったらその時はその時だ、と開き直り、レトルトパックの封を切った。 パッケージを広げ、子猫の前に置く。子猫は早速舐め始めた。しかし、封を切る前に中味を揉んでほぐさなかったため、ゼリー状に固められた餌は四角い形のままだ。子猫は必死で表面を舐めるが、餌は一向に崩れず、舐めた勢いでパッケージの上から砂利へとずり落ちていく。このままでは餌は砂にまみれてしまう。しまった、しまった。どうすればいいのだろう。空腹の子猫にこれは残酷だ。 仕方ない。思い余って子猫に尋ねた。「猫ちゃん、うちに来る?」「にゃあ~!(そう来なくっちゃ!)」提げていたバッグに子猫を入れ、砂利のついた猫餌を外ポケットに突っ込み、家へと小走りした。袋を覗き込みながら声をかける。「大丈夫、大丈夫。もうちょっとでおうちだからね。」 こうして我が家に二匹目の猫がやって来た。