続 ごめんね、にゃあ君29
第29話 引越し当日。朝9時過ぎにトラック到着。見知らぬ男の人が4人も来るので、にゃあ実ちゃんをキャリーバッグに入れ、テラスに避難させる。 作業開始から2時間ちょっとで積み込み完了。キャリーバッグを室内に入れ、トイレの確認。引越し先までトラックとは別行動なので、にゃあ実ちゃんと猫砂は自分たちで運ぶのだ。トイレを済ませ、にゃあ実ちゃんには悪いが、再びバッグに入ってもらう。不安げながらも抵抗なくバッグに入る。 ガランとした部屋の中央にポツンと置かれたキャリーバッグ。派手なオレンジ色が目にしみる。もう戻ることのない部屋。襖の爪跡はにゃあ君が家に入ってきた直後につけたもの。にゃあ君には夜鳴きでよく起こされたっけ。壁の爪跡はにゃあ君とにゃあ実ちゃんの置き土産だ。 最後にもう一度庭に目をやる。にゃあ君と出会った芝生。幾度となくにゃあ君が通り抜けた白い柵。元気なにゃあ君の最後の姿を見送った植え込み・・・・想いは尽きない。 ごめんね、にゃあ君。ここを離れることになってしまって。たとえこの地を離れても、にゃあ君との想い出が風化することはない。 さあ、にゃあ実ちゃん、新しいおうちに行こう。にゃあ君の想い出を全部持って。 (完)