2005 8/20~9/8■■■ 8月20日~ 9月8日に読んだ本のご紹介 ■■■9/8 土の中の子供(中村文則) 施設で育ち、養子として引き取られた親戚から暴力を受け続けた27歳の主人公。彼は恐怖に感情が乱され続けたことで、恐怖が癖のように身体にしみつき…。第133回芥川賞を受賞した表題作ほか1編を収録。 のほほんと生活している私にとっては、暗く、重過ぎました。生き埋めにされた幼児体験をもつ主人公。う~む、そのことだけでも主人公の気持ちは量りかねます。 9/6 震度0(横山秀夫) 大震災の朝、一人の県警幹部が失踪した。蒸発か、事件か。錯綜する思惑と利害、保身と野心、激烈な部間抗争を背景に、N県警幹部6人の密室劇の幕が開く…。と、とにかく『うちわ』のドロドロした話でした。小説の中だけの事であってほしいと願うばかりです。 9/4 I love you(伊坂幸太郎ほか) 恋愛には物語がある。様々な断片から生まれるストーリーを、石田衣良、市川拓司、中村航ら、現在最も注目を集める6人の男性作家たちが紡ぐ。 男性作家が書いた恋愛のお話でしたが、中でも市川拓司さんの『卒業写真』が好きです。全6話で唯一、女性からの視点で描かれていることもあり、主人公の気持ちがとっても よくわかるのです。ハッピーエンド、いや、これからハッピーになるんじゃないか という終わり方もものすごく好き。 9/2 花まんま(朱川湊人) 大阪の路地裏を舞台に新進気鋭の著者が描く6篇の不思議な世界。 第133回直木賞受賞作の『花まんま』ですが、ただ、おばけとか幽霊などの怪談話だというわけでなく、子供を想う親の気持ち、妹を想う兄の気持ち、そして親を想う子の気持などが描かれていて、なかなか よいお話でした。 あと、『トカビの夜』が良かったです。 8/31 孤宿の人(宮部みゆき) あらすじはこちら。 とにかく切ないお話でした。ほうの身の上、生まれたときから人として扱われず、知恵も足りず。ただ無垢なのです。純粋で けなげで一途なのです。 悪鬼に怯え、うわさに惑わされ、自分を見失っていく人々。その人々がやがで巻き起こす騒乱の渦。多くの血が流され、人が死に、街さえ焼かれてしまいます。お家のため、藩のため多くの人々が犠牲になっていくのです。 そして その騒乱の大元、人々から恐れられている加賀殿。彼さえもまた本当は・・・。 正直、読んでいて辛くもありました。その時代であったからこその不幸であり、悲しさ、切なさではあるのですが、人の弱さ 愚かさは今の時代も変わることがないものだと思います。 そして人を思う気持ち、優しさ 愛情も。その気持ちに触れたとき 私は思わず涙してしまいました。 お勧めの1冊(上・下で2冊)です。ただラストは 電車の中でなどで読みませぬよう くれぐれもご注意下さい。 8/24 魔法使いハウルと火の悪魔(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ) 映画よりもずっと面白く感じました。ディテールもしっかりしていて 映画ではよくわからなかった事もわかりました。お勧めできます。 8/21 浄土(町田康) 「どぶさらえ」「あぱぱ踊り」など全7編。 独特、不思議な世界。文体にはリズム感があって これぞ町田節!? それにしても、ビバ!カッパ!って・・・、やけに心に残りました。 8/20 泳いで帰れ(奥田英朗) 奥田氏自身がアテネ五輪を現地取材。見た事、感じたことを素直に書いているだけなのですが、 さすが直木賞作家(2004年『空中ブランコ』で受賞)。うまい、面白い。《泳いで帰れ》は名言です。 ジャンル別一覧
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