プロ野球選手の場合
テレビで、ある近鉄の選手のことを紹介していました。彼は、今シーズン、一軍と二軍を行ったり来たりだった選手です。大学、社会人と野球をやってきて、ようやくプロ野球入りして2年目で、年齢は28才。近鉄とオリックスの合併で、自分はどうなるのか、分配ドラフトまでの彼や、彼の妻の不安な気持ちが紹介されます。そして分配ドラフトの日、合併後の球団に残ることができる、という電話が入ります。でも、彼も彼の妻にも、笑顔はあまり、ありませんでした。彼の妻のコメントが印象的でした。「本当だったら、大喜びしなくてはならないのでしょうが、そういう気にならない自分に戸惑っている」というようなことを言っていたと思います。そして、彼自身が、分配ドラフトの日に書いたという色紙には「猛牛魂」の文字。ニュースキャスターは「やはり、彼の中ではまだ近鉄が忘れられないんですね」と言っていました。このようなことは、プロ野球だけでなく、企業の吸収合併などでもよく見られることではないでしょうか。突然の合併話、当然のようにでてくるリストラ話、自分は残ることが出来るのか否か。自分では、何も知らされないまま、結果のみが伝えられる。そのような中で聞いた結果は、たとえ本来であれば、喜ぶべきものであったとしても、なかなか受け入れられるものではなかったのでしょう。このような場合、両チームの選手に、合併の経緯、今後の方向性についての十分な説明が行われた後、1対1の面談で、選手の経験や特性についての共有がされた上で、本人の意向が確認された後に、球団のその選手に対する考えが説明、提示されれば、たとえ去っていく選手であっても、もっと前向きに次の自分を見つけられるでしょうし、残る選手は、心機一転、さらにがんばろうと思う気持ちへの切り替えが早いのではないか、と思います。プロ野球の選手にも、キャリアカウンセリングが必要だなぁ、と感じたニュースでした。