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カテゴリ:感覚で楽しむア~ト
ニューヨークのアパートは窓が大きいです。カーテンをかけるのに計ったら、縦が180cmありました。窓が大きいということは天井も高いです。天井が高いということは・・蛍光灯が切れると一大事です。
今日は、そんな蛍光灯もしっかり芸術になるというお話です。最近、芸術ネタですが、私はずぶの素人です。感覚で楽しんでいます。。小学校のときに貯水池にスケッチしに行っても、地面を一日かけて描く人間です(笑)。 風邪も良くなってきたので、今日から復活!とばかりに、学校帰りにMoMAに寄ってきました。今月4日から、6階の特設展示場(?)で"Contemporary Voices: Works from The UBS Art Collection"という長いタイトルの催し物が始まっています。UBSの所蔵する51人のアーティストの作品が、MoMAで展示されています。そのうち44作品はそのままMoMAに寄贈されるそうです・・太っ腹。 ところでUBSってご存知ですか。私・・知らなかったんですよね。マーク見るまで、街中走っている配達屋さんだと思っていました・・あれはUPSですね。正しくはUBS investment bankといってスイス・ユニオン銀行とスイス銀行コーポレイションとの合併した大きな銀行のようです・・・って常識ですか・・? 調べたらいくつかUBSってあるんですよ・・聖書協会世界連盟(United Bible Societies)、 ウサギ放送局(Usagi Broadcasting Station)など・・。 そのUBSの所蔵コレクション・・絵画は色彩がはっきりして、同作家の作品が複数無いので個性が際だっていました。作品を選んだ基準は、それぞれの作家の転機に当たるモノ・・らしいです。会場入って正面の壁に、絵画を下から照らすべく、蛍光灯(写真)が設置してありました。形的にエンパイアステートビルのような・・。こんな工夫までしてあるのね・・鈴木ソノコのようだわ・・と思って近づくと、どうも・・作品らしい。横に作品名が書いてある。 "monument" 1 for V. Tatlin, 1964 cool white fluorescent light 8 ft. (244 cm) high この作品の説明と、芸術品であるだろう蛍光灯をしばらく見比べていました。隣におばちゃんも同じことを思ったらしく、二人で顔を見合わせながら、「この説明はこの蛍光灯のことよね・・」と笑いながら言い合っていました。 "Dan Flavin"(ダン・フレィヴィン)は、1933年、ニューヨーク生まれ。蛍光灯を使った単純な形態の作品を作る彼は、ミニマリスト"Minimalist"の代表と言われているそうです。う~ん・・初めて聞くこのミニマリスト・・大雑把に(小さく)まとめるとこんな感じのようです。 もともと抽象表現をしていた芸術家たちの中には、1950年代の後半から、過剰な抽象表現に抵抗を感じる人たちが出始めたそうです。もっと「本物」の空間と素材に注目し、表現しようとした人たちをミニマリストと言うそうです。ちなみに「本物」をメディアや広告、映画などに求めた人たちが初期のポップアートを生み出していったそうです。ニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちの彼は、自然史博物館で警備員の仕事をしながら、彫刻を模写し始めたそうです。韓国に留学したり、コロンビア大で専門的に学んだり・・。 難しい美術論はよくわかりませんが、彼の作品は見ていてきれいです。MoMAでは白い蛍光灯のみでしたが、カラフルな蛍光灯で空間を演出する作品は、とてもきれいでした。グッゲンハイムやグランドセントラルの照明の一部も彼の作品だそうです。 写真のグッゲンハイムのライトが彼の作品です。幼馴染であり、仕事仲間でもあった友人(Ward Jackson)のために製作したそうです。今でもライトアップされているのかなぁ・・。 日本でも彼の作品を見ることができるようです。国立美術館から鎌倉画廊が彼の作品の一つを売却しています。ちなみに額は14,700,000円也。昨年のオークションでも、彼の売却額はここ10年でもかなり高騰しており、『ウォール・ストリート・ジャーナル』で伸び率4位にランクされていました。 ニューヨークでは"Dia Beacon"に彼の作品が3点ほどあるようです。今度、グランドセントラルから電車に乗って行ってみようかなぁ。入場券とセット(割引あり)になった乗車券もあるようなので・・。ちなみに旦那さんの元同僚が、"Dia Beacon"でエアロ・スミスの誰か(?)に会って、ホットドックを奢ってもらったそうです。
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