14か月の入院生活を支えてくれたリハビリの先生について
梅の花が咲き始めています。悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)での入院治療、そして回復期のリハビリ病院での生活をふり返ると、私の14か月には常に「リハビリの先生」が寄り添ってくれていました。しかし、これまでなんとなく理解しているつもりだった「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の役割」や「その資格を得るまでのプロセス」「大学病院で出会った実習生がどんな道を歩んでいるのか」といった点を、しっかり整理できていないことに気づきました。今回あらためて調べたことを、私自身の体験と重ねながらまとめてみます。【1】理学療法士(PT) ― “動作の再獲得”の専門家理学療法士は、立つ・座る・歩くといった基本的な身体の動作を回復させる専門家です。私の場合は、特に以下のような関わりがありました。長下肢装具・ニーブレス・短下肢装具を使った立位・歩行の練習歩行に必要な筋力・バランスの調整痙性や筋緊張が強い日のメニュー調整「歩けるようになるためには痙性が必要な時期がある」という説明もPTの先生からでした。毎日違う私の体調を見極めて、“今日の私にとって最も効果のある内容”を組んでくれていたことが今になってよくわかります。【2】作業療法士(OT) ― “生活そのもの”を支える専門家作業療法士は、日常生活の動作(ADL)を支える役割を担っています。更衣(ズボンの上げ下げなど)トイレ動作の指導車椅子からベッドや車への移乗手・腕の使い方の訓練生活の組み立て、動作の順序の工夫自宅環境の調整私が回復期リハビリ病院で一つひとつ「できること」が増えていった背景には、OTの先生の細やかな評価と指導がありました。単に“できるかできないか”ではなく、「どの順番で」「どこに意識を置き」「どう準備すれば安全にできるか」まで教わったことが印象に残っています。【3】言語聴覚士(ST) ― 一般的な役割私は直接STの先生に治療していただく場面はありませんでしたが、一般的には次のような重要な役割があります。嚥下(飲み込み)機能の評価・訓練食事形態の調整言語・発声の評価高次脳機能(注意・記憶など)の支援長期入院では嚥下機能の変化が出ることもあり、必要に応じてSTが介入します。私の入院中の周囲でも、嚥下訓練を受けている患者さんをよく見かけました。【4】リハビリの先生はどう育つのか ― 国家資格取得までの流れPT・OT・STはいずれも国家資格で、大学や専門学校で3〜4年の教育を受けて現場に出てきます。基礎医学(解剖学・生理学など)の学習リハビリ評価・技術の実技と講義長期の臨床実習国家試験への合格この過程を経て、“患者の身体や生活、心に関わる専門職”として成長していきます。【5】大学病院で出会った実習生のこと大学病院で出会った実習生の存在は、治療が始まったばかりの私にとってとても大きな意味を持ちました。明るく話題が豊富で、医療の話だけでなくアニメ(孫娘の好きなプリキュアのこと)やグルメなどの雑談もでき、不安の大きかった時期を支えてくれました。彼女から聞いた話の中で「へー、そうなんだ」思ったのが、「実習は大学のある県ともう1県で行う決まりがある」という話です。彼女は県外の大学からこの大学病院に実習に来ていました。これは学校側が幅広い症例を経験させる実習先を確保する急性期・回復期など異なる医療現場を学ばせるといった目的で取り入れている制度だと知りました。実習生は資格取得前の身ではありますが、患者に向き合う時間が比較的多く、話を丁寧に聞いてくれる存在でもあります。医師や看護師が多忙な中で、患者にとってあのときの実習生の存在は少し特別な意味を持つのだと気づきました。【6】リハビリには“カウンセリングの側面”があると知った今回あらためて調べて感じたのは、リハビリには強いカウンセリング的な機能があるということでした。医師や看護師は業務が非常に多く、じっくり時間をかけて話を聞く余裕がありません。しかしリハビリの先生は1対1で40〜60分、患者のためだけに時間を使う毎日の身体と心の変化を観察できる患者が安心して弱音を吐ける「安全な空間」を提供できる私も、痙性が強い日、不安が大きな日、眠れない夜のあとなど、リハビリの時間が心の支えになっていました。身体の訓練でありながら、実は“心の調整の時間”でもあったのだと今になって実感しています。◆ まとめ今回あらためて整理したことで、私の回復の背景には、PT・OT・STの先生方、そして実習生を含む多くの人の支えがあったことを再確認できました。リハビリとは、 「動作を取り戻すための訓練であると同時に、生活を取り戻すための伴走でもある」。私にとって14か月の入院生活を支えてくれたのは、まさにその「伴走者」たちでした。