吸収合併

吸収合併

暖かいご理解をしていただいたお客様、それと再納入に大きな力を貸していただいた提携先会社のお陰で、無事大きな難局を乗り越えられました。
(乗り越えるのに約一年かかりましたが)

しかし、提携した会社に提携の条件として株式、営業権、ソフトウエア著作権すべてを譲渡するとともに私の手からそのすべてが離れて行きました。
10年以上かけてコツコツと積み上げてきたものが、一瞬のうちに失ってしまうことになりました。

そして私はその会社ともう一つの条件である「吸収合併」を受け入れ
私の会社は「閉鎖」となりました。
すべての閉鎖に関する登記手続きを終え
私の手元に株式を売却した資金と「閉鎖謄本」が残りました。
登記簿謄本にも「閉鎖謄本」があることを知ったのもこのときでした。
今でもその謄本はいつでも見えるところに置いてあります。
初めの頃は、寂しい気持ちと、悔しい気持ちが入り混じったものでしたが
徐々に気持ちも吹っ切れ、新しい環境でやり直そうと決意しました。

合併先の会社は歴史と伝統のある会社で、役員陣も高齢の人が多く
私は最年少役員としてナンバー2の常務取締役に就任しました。

今までと違い資金繰りには神経を使う必要がなくなり
ただ営業成績を上げることが中心の仕事となりました。
同時にそのグループ内のお付き合いも多くなり
接待、ゴルフと私の日常は大きく変わりました。

それまでも大好きだったゴルフも年に一回か二回だったのが
何と年間50回近くもゴルフに行くことになり
大いにハンディも上がりました。

それを見て友人などは「良かったんじゃないの!」
とのんきなコメント言ってきましたが
私の心の奥深くにある複雑な自分の気持ちは
誰も分かるわけないなと感じていました。

いずれにしても、このような結末に至った経緯は
すべて代表取締役であった自分に責任があるわけで
悔しい気持ちはぬぐえないものの
気持ちを切り替えて
「このような体験をした人はそんなに多くはないはずだ
 普通だったらこれですべてを失い再起不能になってもおかしくないが
 自分はこうして今も活動している。
 だったらこの貴重な体験を今後に活かして行こう!」と決意しました。

神様が与えてくれた貴重な試練を心から感謝できるようになろうと思うことにしました。


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