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2008年07月09日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
こうもうだるような暑さでは、たまりませんねえ。

 そこで暑さを吹き飛ばすようなお話をひとつしま

 しょうかしら。

 主人が亡くなって今年で早くも17年がたちました

 けど、その死後しばらくはいろんな噂がたちまして

 ねえ。

 もちろん私の耳にもあれこれと入ってきましたよ。

 なかにはひどいのになると、女房の私が殺した

んじゃないか、

 なんて陰でこそこそ言う人もあったくらいです

からね。

 夫の死因は溺死だったんですがね。

 死んだ人のことを悪く言うのもなんですが、

 夫は酒癖が悪くってね。

 酒さえ飲まなければ悪い人じゃあなかったんです

 がねえ。

 酒がやっぱりいけなかったんです、雪の降る夜になにを

 思ったんだか酔っ払って港へ行き、海に転落して死んだ

 んですからね。

 それと言うのも港近くに行きつけの飲み屋があったんですよ。

 「波の花」っていうね。

 そこの女将の浩子と出来ていたっていうのが、

 もっぱらの噂でしたがね。

 その浩子てのは、なかなかの垢抜けした人でね。

 もっとも東京生まれの東京育ちだから、

 こんな北陸のさびれた港町にゃあもったいない

 ような美人でしたよ。

 今どうしてるって?

 ちゃっかりと東京へ舞い戻って人の奥さんに納まって

 いますよ。

 したたかといえば、したたかだわね。

 私はどうしてるって?

 母がやっていた派出看護婦紹介業を継いで、

 ほそぼそとやっておりましたが、

 介護保険制度ができたのをきっかけに介護サービス業に

 手をのばして今ではこれでもひとかどの社長です。

 人の運って、どこでどうなるものやら、わかりません

 よねえ。

      (続く)

 

 



  







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Last updated  2008年07月10日 03時14分22秒



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