テーマ:戦争反対(1194)
カテゴリ:中国/台湾
朝日新聞のコラムニスト、船橋洋一氏は以前から注目しているジャーナリストの一人。
朝日新聞社に所属しているとは思えない意見をズバズバと書く人です。・・・とはいえ朝日所属だけあって、申し訳程度に「朝日的」な主張を載せたりはしますが。(その場合でも本文に比べて非常に少ない文章量だったりする) 船橋氏と言えば、2004年2月5日のasahi.comコラム「日本@世界」でアーミテージ・ドクトリンという日米安保の新戦略方針を紹介し、「日本の施政の下にある尖閣諸島が攻撃されれば、米国は防衛義務を負うことを明確にした」と分析。(米国は従来、同盟国の抱える領土問題には関与しない方針だった) そのコラムが載った直後に外務省の高島肇久外務報道官が船橋氏の分析と全く同じ主張を行い、そして2004年3月24日、米国務省エレリ副報道官が「日米安全保障条約は日本の施政下にある領域に適用され、尖閣諸島にも適用される」と明言。船橋氏の分析は適確であった事を示しました。 そんな船橋洋一氏が、週刊朝日10月29日号(10月19日発売)において氏のコラム『船橋洋一の世界ブリーフィング』で東アジアの核問題について非常に興味深い論文を載せています。 ■IAEA、今度は台湾の秘密核開発の「証拠」 [ 週刊朝日2004年10月29号 ]
とこのように、文章の主題は台湾が核武装する可能性は薄いとするものです。 確かにそうです、中国大陸を核兵器で叩き斬るには北京や大陸深奥部のミサイル基地まで届く弾道ミサイルと、数百発の核弾頭が必要です。それが用意できない限り、数発の核兵器を持っていたところでは中国にとって脅威ではない。しかし、それら大量のミサイルと核弾頭を開発・量産する場合、早期に感付かれてしまう。そうなれば中国は先制攻撃を掛けてくるだろう・・・ それに、中台紛争で中国側が先に核兵器を使ってくる可能性は非常に低い。中国は台湾をなるべく無傷で手に入れないと意味が無いし、地域紛争で(彼らは国内問題だと主張している)核兵器を使い国際社会から孤立するのは、あまりにもメリットが無い。 さて、船橋氏はその総論の後に、台湾核問題についてこんな噂話を紹介しています。
韓国陰謀説、ありそうな話です。そして次のアメリカ陰謀説は、いつもなら船橋氏の「朝日への配慮」だと読み飛ばすところなんですが・・・ >核拡散の危険を騒ぎ立て、核テロに対する米国民の恐怖感をあおろうとしているのではないか 2004年10月19日、韓国の釜山でウラン密輸が発覚という事件が報道されたばかりでは、読み飛ばす事ができません。そして週刊朝日10月29号は19日発売であり、船橋氏が執筆したのはこの事件が発覚する前である事を考えると、その先見性には唸るしかありません。 とはいえ、船橋氏のこのコラムの主題は「台湾は核武装する気は無い」というものであり、韓国陰謀説とアメリカ陰謀説は根拠の無い噂話を紹介しているだけで事実を示したものではありません。だからこれをそのまま真に受けるのは危険です。アメリカ陰謀説は、アメリカにとってデメリットも多い事を考慮していません。韓国核開発が明るみになった時、北朝鮮はここぞとばかりにこの問題を利用し、アメリカは困った立場に陥っています。 ですから、IAEAでそんな噂が流れているといった程度の認識に留めておくのが賢明でしょう。 しかし・・・唯一の超大国として権力を行使するアメリカが嫌われ悪い噂が流されるのはある意味しょうがないとしても、小さな国に過ぎずあまり注目されてこなかった韓国が信用されず、悪い噂を流されているのは今までの行いが相当悪かったと言われても仕方がありません。噂が流れている場所がIAEAである、という意味はとても重いものです。 そして一つ言えることは、台湾の核問題が浮上しても韓国への追及の目は決して緩まず、新たに発覚したウラン密輸事件は韓国の立場を更に不安定な物へと変化させてしまったという事です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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