防衛庁の次期中期防衛力整備計画で、新型戦闘機の導入が決まりました。
「次期防の最終年度(2009年)から7機を導入する多目的新型戦闘機は、敵の戦闘機を迎撃する能力と、陸上や海上の目標を攻撃する能力を併せ持ち、老朽化しているF-4戦闘機の後継となる」・・・ということだそうです。

「・・・というわけで、航空自衛隊はステルス戦闘機ロッキードF/A-22ラプターを配備する事になりました~♪」

「ああ・・アッサリ断定しちゃいましたよこの人・・・」

「だって2009年じゃF-35は間に合わないしね。それに2010年頃にアメリカ軍向けのF/A-22生産が終了する頃だから、タイミングがちょうど良いし」

「でも要求性能を考えるとF/A-18EスーパーホーネットやF-15Eストライクイーグルの方が良いんじゃない?
F/A-22ラプターは対艦ミサイルを積もうとすると機外兵装とするしかないから、せっかくのステルス性が失われるし」

「でもその状態でも他と比べて能力が劣るわけじゃないでしょ?
そして純粋な空戦ならラプターは絶対的な存在。非ステルス機がどんなに束になって掛かってきても問題にしないでしょうね」

「しかし、ラプターで対艦攻撃とは勿体無いというか贅沢というか・・・」

「ええ、だから既存のF-15Jイーグルを改造して対艦ミサイルを運用できる様にする計画もあるから、それで良いんじゃない? そしてラプターは空戦用に温存。
アメリカ空軍もF-15CにGPS誘導爆弾JDAMの運用能力を付与する計画みたいだし、イーグルを支援戦闘機化してしまえば・・・ほら、航空自衛隊のF-4ファントムも後から爆撃/対艦攻撃能力を追加したしね~」

「それにしたって高価すぎやしませんか? 1機200~300億円もする戦闘機です。しかも機密の塊だから、スパイ防止法の無い国には売ってくれないかもしれません」

「その辺は、1年に7機ってトコが臭いわね・・・この少ない調達ペースは『次期多目的戦闘機はかなり高価である』証なのかも。
1機120億円くらいのF-2なんかは、年に10数機ずつ調達していたもんね」

「スパイ防止法については・・・これから制定しちゃえば? 5年も猶予があるんだし」

「新しい戦闘機の為だけに導入しろ、というのですか」

「強力な外圧を得る事が出来るかもしれないわね・・・『ロッキードの戦闘機を買ってもらう為に日本はスパイ法を制定しろ』とアメリカから援護射撃が期待出きる・・・」

「なんか本末転倒な気もするけど、結果が良ければOKという事で。
こうして永年の懸念だったスパイ対策は、本筋と全然関係無い話から解決策が示されたのであった・・・チャンチャン」

「そんな、いい加減な」

「棚からぼた餅って奴?」

「しかし、本当にF/A-18EやF-15Eの可能性はないのですか?
他にも候補としてヨーロッパのタイフーン、フランスのラファール、スウェーデンのグリペン、ロシアのフランカーなどがありますが・・・」

「F/A-18Eは導入しちゃうと、F-2を開発した事自体の意義が大きく問われるので航空自衛隊は導入したがらないでしょう。
最初からF-2の開発ベースをF-16ではなく、F/A-18にしておけば良かった・・・と言われるのはイヤだろうし」

「それに日本は、欧州の戦闘機は買おうとしないんじゃない?
英仏独は中国に武器を売ろうと輸出解禁に向けて動いているし、もし日本がラファールを買ったとして・・・中国も買っちゃったら、同じ機体が対決する事になっちゃう」

「フランスは対立する双方に武器を売るという死の商人振りで有名だしね。
実際に中国と台湾、どっちにも武器を売りつけているわ」

「それは気分の良い話ではないですね」

「それにグリペンなんかの安い小型戦闘機は数を揃えないと意味無いし。
でも戦闘機の総数は減らされる事が決まっちゃったから、自衛隊は単機での性能がなるべく高いほうが良いと思ったんでしょう。
・・・というよりは、ずっと以前からF/A-22でほぼ決めていたらしいの」

「すると次期多目的戦闘の選定作業は、出来レース?」

「機種が決まってもいないのに、既に導入予定スケジュールと導入機数が決まっていて、その分の予算も確保されている・・・なんて事が有り得ると思う?」

「もう、ほとんど決まってしまっているんですね・・・」
