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カテゴリ:読書
桑畑敏真さんの北畠顕家です。
北畠顕家といえば北方謙三さんの「破軍の星」ですが、北方さんの描く北畠顕家よりも人間味のある人物として描かれていました。 公家から武士になっていく過程で迷い、そして成長しながら弱くなっていく顕家は、血の通った人間として描かれていました。 そして桑畑流の歴史解釈・説明により当時の状況がよく分かる読み物・・・歴史小説になっていました。 ちなみに北方さんのは歴史小説ではなく歴史を題材としたハードボイルド小説なんですよね。だから主人公に人間臭さがないような気がします。歴史というのは人間の失敗と成功の積み重ねだと思います。そして神ならざる人間は未来のことが分からない故に、不安になり理から外れて失敗したりするのだと思います。(どんな賢い人間でも「不安」には勝てないのでしょう・・。精神学者のフロイトは「人間は怒りも悲しみも感情をコントロールできる。人間が唯一コントロールできない感情は『不安』だけだ」と述べています。これは「不安」は影と同じで、その人間のレベルに応じて「不安」が賢くなるということなのでしょう。) 北方さんの描く主人公は、この「不安」がなく「信念に基づく確信」だけがあるので人間味がないのかな・・と思います。(多分、北方さんは『格好いい主人公』を描きたいのでしょう。その人物が本来もっている「弱さ」や「不安」は描きたくないのかな・・・) ちょっと脱線しましたが、桑畑史観ではこれほの武勇かつヒーロー性のある顕家が後世において評価されない理由として、顕家の諌奏文を原因の一つにあげており、これは納得できる考え方で面白かったです。 ちなみに、東北震災の復興から考えてもNHKの大河で東北を舞台にしたものをやるのがいいかと思っています。 そうなると、伊達正宗、上杉景勝(直江兼続)、源義経、奥州藤原氏はやっているので、北畠顕家なんか良いかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.03.01 23:11:04
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