菜の花や月は東に日は西に

『朧​​​​​​​​​​​​​月夜』が発表されたのは、大正3年（1914年）です。私はこの歌について記載するたびに、江戸時代の俳人で文人画家の与謝野蕪村の句、「菜の花や月は東に日は西に」を思い浮かべるのですが、実際はどうだったのでしょうか？ まずこの句は安永3年（1774年）3月23日（旧暦）に、読まれたことになっています。ところが、新暦では3月23日は5月3日になり、5月3日では夕暮れに、満月が東に出始め、その頃に夕日が西に沈むことは無いのです。 実際はその10日くらい前の4月23日（本日）頃が、その時期に当たり、10日前に見た光景を思い出しながら、旧暦の3月23日（新暦では5月3日）に、この句を詠んだのではないか、と考えられています。 ただ、ここで大切なことは、自然科学の世界と文学の世界は、必ずしも一致しないことがある、ということでしょうか。​