真夜中のお茶会

2007/06/22(金)12:00

『クロス・ロード』 榊花月

BL感想|小説メイン(129)

今更なんだけど、榊花月の「抱きしめたいシリーズ」の『Over』と『クロス・ロード』を読んだ。 抱きしめたい/榊花月/高橋悠/Shy novels ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【あらすじ】 「関係しちまえば自分の持ち物だろ?」サラリーマンの橘歴也には、つきあって七年目になる恋人がいる。同僚の上領彰だ。高校時代から始まったふたりの関係は、上領の傲慢な性格のせいでいつも波瀾を含んでいる。上領は歴也が一番大事だとわかっているのに、最後の最後で歴也を信じきれないのだ。歴也はいつも上領に振り回されながらも、やはり上領なしではいられない。そんなある日上領にいつもの悪い癖がでてしまい…。 【目次】 抱きしめたい/さよならは夢の中へ/Another Mind 先日、ちょっと逃避をしてしまい……全く別の本を探して本屋さんをふら付いていたのですが、 目的の本は見付からず、それでもズララ~っと並ぶ蔵書の量に圧倒された本屋さんで、 何が有るかなぁ……と眺めていたら、発見。 リニュして完結したのは知っていたのですが、……もう3年も前に。。。 読もう読もうと思いながら読めなかったのです。 いやぁ、この続編が出るまでのインターバルが長かった事! 最初古本屋さんで新書を見つけ、続編は文庫で読み、 ……本当!凄く気になるところで話を切られてしまっていたから、物凄く気になってはいたのです。 ならリニュして続編が出た時に直ぐ読めって、……ははは。。。 なので今回新規で読んだ話は、 『Over』は書下ろしの1編だけ未読だったからそれを見て、で、完結編になる『クロス・ロード』。 Over/榊花月/高橋悠/Shy novels ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【あらすじ】 いつになったら上領の影を払拭できるのだろう?上領と別れて執行となしくずしにつきあい始めた歴也。だが、なにをしていても、たとえ執行に抱かれていても、上領のことを忘れることができずにいた。一方、上領は歴也と執行がつきあい始めたことに苛立ちを隠せずにいた。でも、もう俺はお前のものじゃないだろ?これまで歴也はただひたすら上領が自分のもとに戻ってくるのを待ち続けていた。今度はそうじゃない…。しかし、思いがけない事が起きてしまい。 【目次】 Over/フラジャイル/車の中でかくれてキスをしよう 正直ここら辺の話って、「如何してそうなってしまうんだ!?」って 読みながら心の中で叫び捲くっていたのよ。 だってさ、思っている事と、言っている事と、やっている事が、全く全然バラバラなんだもの。 読んでいて物凄いジレンマに陥ってしまっていた。 それで一体どうなるの!?どうするの!? って思っていたところでいきなりの事件――。 ぶっちゃけ、物凄い邪魔だった彰の新しい恋人羽鳥が自殺してしまい、 それもまた何で~!?だったのですが、この本にはその後のその真相めいた物が載っていた。 羽鳥が一体何を思って行動していたのか――。 彰も羽鳥も歴也を悪者にしてしまっているけれど、 本を糺せば彰の強引さと優柔不断さと甘えが原因にしか思えないのよね。 ここに至るまでの歴也の悩みと葛藤と忍従を思えば。 そう思う私は、何で歴也は彰をそうと断罪しないのか、 何故初めから諦めのように受け入れるのか、それも謎ですが。 『Over』の中での書き下ろしは羽鳥視点で書かれた『フラジャイル』でした。 調べてみたら、初出の文庫とはラインナップが変わっているのね。 ところで、このシリーズを読み始めて参ったなぁと言うのが、主人公の名前。 覚えるのに苦労したのよ~~~。 歴也・・・何と読むでしょう。答えは「ゆきや」読めないよね~。 クロス・ロード/榊花月/高橋悠/Shy novels ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【あらすじ】 上領が会社をやめてからというもの、歴也は現場と会社を往復するだけの毎日を送っていた。恋人であるはずの執行と一緒にいる時も、ついつい上領の面影を追ってしまう…そんな自分にジレンマを感じてながら。だけど、もう恋で苦しみたくない。そう思って自分の心をごまかしながら。だが、ある日突然、上領から電話がかかってきた。以前のように屈託のない声で「会えないか」と。「抱きしめたい」シリーズついに完結。 【目次】 クロス・ロード/安らげる場所/LOVE それで、完結編になる『クロス・ロード』。 歴也の離反、羽鳥の死から立ち直ろうとする彰。結婚する事になり、やっと歴也とあう決心をするが……。 吹っ切ったような感じのするサバサバとした彰に対し、 彰への思い、羽鳥への感情、司への後ろめたさ――そんな諸々を抱える歴也。 彰の結婚を素直に認め、自分の中でケリを付けるように、 結婚式の日にやっと歴也は彰に「愛している」と告げる――。 って、おい!そんな場面でそんなことをするか!? 歴也はただ吹っ切る為に気持ちを言っただけなのに、 言われた彰の方は完璧舞い上がりモードに突入で、式直前のドタキャンをしてしまう。 ……卒業かよ。。。 まさかそんな風な展開に持って行くとは思いもよらなかった。 出発点と着地点で設定キャラ違うんじゃない?って気がして……。 本編の『クロス・ロード』はここまでの話が書いてある。 終わり方はまさに『卒業』だねぇ~。 続いての『安らげる場所』は彰視点での羽鳥の死から結婚式ドタキャンまで。 ふ~ん、彰ってこんな風に思っていたんだ。。。 と言うのはあったけど、何か歴也が可哀想になってしまった。 好きだの愛しているだのは言っても、結局は歴也自身を良く見ていなかったと思うんだもの。 「愛されていないと思っていた」って、あんまりじゃん。 アレだけ振り回しておきながら、それに泣きながら迷いながらも歴也は付いて来たのに。 歴也にとっては正に怒濤の展開、青天の霹靂になっていると思う。 そしてラストの話が二人のその後の話『LOVE』 結果、彰も歴也も会社を辞める事になり、一緒に暮らすようになって、 新しくまた別な所で働き始め――。 ……彰がヘタレなのは良く解った。 しかし、このシリーズは花丸新書から始まって、花丸文庫へと移り、 今回SHYノベルズでのリニュとなった訳ですが、 残念ながらSHYノベルズでの完全リニュではないみたいですね。 全部のシリーズは刊行されなかったようです。 完結編を迎える為に、ポイントだけ抑えているといった感じ。 全編を通して見てみると、何か途中から話が捻じれてしまった感じがして、 おまけにキャラ違うんじゃない???に思えてしまったり(苦笑) でもって、話自体はムカつくほど焦れる話なんですよね。 大体は彰の態度と、耐える歴也のじれったさに! 実際ムカついた。 なのにムカ付ながら何で読むんでしょうね? 完結編を読めて、スッキリしましたわ。

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