思い出

2010/05/04(火)23:50

核なき世界への動き

時事(57)

2009年4月5日、チェコのプラハにて、オバマ米国大統領は、 大統領選挙での公約で掲げた、「核兵器なき世界」の実現に向け、 具体的な国際交渉に入ることを宣言しました。 2万人以上が詰めかけたプラハ市民に向かい、 オバマ氏は、こう訴えました。 「『世界が変わることなんてできない』と言う人たちの声は無視し、 こう言おう。『イエス・ウィ・キャン』」。 そして、その年の7月に アメリカに次いで2番目に核兵器を持つロシアと、 核弾頭などの削減で合意。 7月の主要国首脳会議(サミット)でも、 9月の国連安全保障理事会でも、 「核兵器のない世界」を目指す決議がなされました。 今年の4月には、米ロは、新核軍縮条約に調印。 47カ国が参加して、核安全保障サミットも開かれ、 4年以内に世界の核物質の安全な管理体制を確立する 声明を採択しました。 この一連の流れは、 世界の覇権国家である米国の大きな戦略転換を意味します。 今までの安全保障政策は、第二次世界大戦後の、 資本主義国と社会主義国の対立、米ソの対立を前提に 出来上がりましたが、 米ロの核戦争や、大国同士の軍事衝突の脅威が薄れ、 一方、テロが頻発したり、小国が暴発のそぶりを見せたり、 脅威の種類が変わったことに対応するものです。 核兵器を持っていても、テロ組織は倒せないですし、 逆に、テロ組織が核兵器を持ったら、大変なことになりますね。 世界の経済だけでなく、世界の安全保障問題も、 歴史的な大変化が見られはじめています。 さて、その中で、今、日本はどういう姿勢で臨むべきでしょうか。 世界で唯一の被爆国として、核なき世界を願い、 それを先導しようという気概を持つべきことはもちろんのことです。 しかし、現実の日本の周辺は、 昔の冷戦構造の抜けない、世界の中でも遅れた地域の一つです。 北朝鮮は、国際社会に参加せず、一人の独裁者が統治し、 飢えている国民が多数いるにも関わらず、 体制維持のために、巨額の資金を使って、 核兵器の開発に躍起になっています。 中国も、共産党の一党支配が続いています。 そして、国の軍隊ではなく、党の軍隊である人民解放軍が、 国を守っており、好調な経済を背景に、予算をどんどん獲得し、 装備の拡張にまい進しています。 世界の流れに反し、残念ながら、 日本は、冷戦時代からの核の傘が、まだ必要なのが実態です。 この状態から脱するために、日本は積極的に、 東アジアの安定のため、力を尽くす必要があります。 世界の構造が大きく変化している今、 外交や安全保障の問題にも、より目を向けることが、 必要になってきました。

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