6796856 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2016.10.10
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
町制最後の昨夜も記事にしたのですが(さらば富谷町...そして「字」も(2016年10月9日))、新しい歴史の1ページを開いた今日も、富谷市のことを書きます。

全国には、市内に鉄道駅の全くない「駅なし市」がいくつかあります。東北では、十和田市が該当します(十和田観光電鉄が廃止されたため)。もっとも十和田市に今は駅はなくとも、鉄道だけなら、東北新幹線が市域を疾走しています。

■関連する過去の記事
 駅なし市 いまむかし(09年11月7日)

では、駅どころか、市域を鉄路が全く通過していない「鉄道なし市」はどうか。それも全国には結構あります。武蔵村山市、坂東市、富里市、大川市など。首都圏や福岡県の都市が該当するのは意外な気もします。しかし、これまた意外なことに、東北地方には全くありません。つまり、現在の東北6県の市には、すべて鉄道が走っているのです...

いや、実はそうは言えません。今日から例外が誕生しました。富谷市です。

これまで何度か記しました。なぜ東北本線の仙台以北は、奥州街道沿いの吉岡や古川や築館を通らないのか。このため宮城県北の発展にどんな影響を及ぼしたのか。

明治13年にジョセフ・クロフォードが松木荘一郎を従えて測量した際には、すでに現在のルートとなっている。やはり、野蒜築港の構想と塩竈港の存在が大きかっただろう。ルート決定の基準としては、大都市を結ぶこと、野蒜(後に塩竈)、八戸、青森の各港を結ぶこと、トンネルをなるべく避けること、などがあったと言われるが、宮城県北部については、やはり港の物流を考えたことが大きく、これに対して古川や吉岡など街道筋の地域運動が弱かったこと、反対に小牛田の強い誘致運動なども要因として指摘される。(下記の過去記事を参照下さい。)結局、古川や涌谷などは後に本線と連結する横断線実現に力を入れることになる。

鉄道会社は当初、吉岡、古川、築館を計画したが、丘陵地の三本木や金成が難工事だから小牛田や瀬峰を通るルートにしたという説明もある。かつての宿場をつないで北上するルートは、コストの点から避けられたということになる。そして、例によって、稲作や養蚕に害が及ぶとか、徒歩の旅客が来なくなって宿場が廃れるからという反対論も援用されるが、これらは大概のところ後から付け足した理屈というところだろう。もっとも、鉄道の利便は認識されていたとしても、自分のところだけは買収されたくないという意識はあった可能性がある。

結局、港の物流、地形(コスト)の要因に加えて、地元の賛否の熱力学が相まって、今の東北本線ルートは形成されたように思われます。

以上からは、富谷を鉄道が走る可能性も、薄かったということになります。しかし、小さい可能性としても、歴史上どんなルートが「あり得た」のでしょうか。

● 仙台から北仙台、七北田、富谷、吉岡と北進するルート
北仙台駅から西古川(陸羽東線)まで、762ミリ軌間の仙台鉄道が営業していたが、台風の被害により全線廃止となった(昭和35年)。そもそも「仙台から古川に至る鉄道」は改正鉄道敷設法(大正11年)の予定路線とされており、仙台鉄道を継承充実させる形で仙台古川間の鉄道敷設の地域運動が高まってもおかしくないのだろうが、そのような歴史は(不勉強にして)あまり聴かない。
もっとも、仙台鉄道は、陸前大澤(今の東北道泉IC付近)から北は、現在の泉ヶ丘とパークタウンの間(谷間のような)の市道に沿うようなルートで北上し、黒川小野駅(ハーモニータウン杜のまちの西側)を経て、富谷駅につながるのだが、この駅の所在地は現在の大和町小野地区(山下橋のあたり)。そこから北上して、富谷市二ノ関地区を経て国道4号沿いの志戸田駅に至る。つまり、富谷市域のほんの北の端を通過して、吉田川を越える手前の志戸田に一駅があっただけ。旧宿場のあった中心地や現在の住宅団地群から大きく西にそれたルートだった。

● 岩切から七北田を通って富谷、吉岡を経由するルート
岩切駅から七北田川北岸を経由して、松森、七北田、富谷と結んでいくルート。台原や荒巻の丘陵地で建設コストが過分となるのであれば、早期に開業していた岩切駅から延伸するという考えもあり得たのではないか。

● 利府から吉岡に至るルート
日本鉄道が塩竈まで開業(明治20年)した後、岩切から分岐して利府、松島(反町)を経由して一関に通じる鉄道が明治23年開通。しかし利府線の勾配緩和と複線化のために塩竈側の建設運動が高まり、昭和19年に海岸線(塩釜、松島、品井沼を通る現在の東北本線)が開業して、「山線・海線」が並立。その後、昭和37年に海岸線が複線化完成し、利府線は利府駅以北が廃止された。
このとき、黒川郡を挙げて鉄道誘致の機運が高まっていたら、利府駅から西北に向かい、鶴巣、富谷、吉岡などに向かう新線建設がありえたかも知れない。

もし、富谷が「駅あり町」だったら、大正、昭和を通じて事業所や学校なども集積していたでしょう。いまのような郊外型住宅団地の発展とは異なる歴史があったのではないでしょうか。

■関連する過去の記事(東北本線のルートなど)
 仙台以北の東北本線・仙石線ルートと「松島電車」(2016年2月11日)
 石巻線と金華山軌道(石巻-女川)の歴史(2016年2月6日)
 仙山鉄道 3つのルート(2015年2月13日)
 小原新道と白石人車軌道(2014年8月8日)
 松山人車と白石人車軌道(2014年8月7日)
 幻の鉄道計画 改正鉄道敷設法の予定線(その2)(2013年4月20日)
 幻の鉄道計画 改正鉄道敷設法の予定線(その1)(2013年4月19日)
 仙台駅の予定地について(その9)(2012年5月23日)
 宮城県北部の東北本線ルート(何度目でしょうか)(2012年1月1日)
 仙台駅の予定地(その8)(2011年9月26日)
 やっぱり当初は角田か 東北本線ルート(2011年9月15日)
 東北本線ルート 白石か角田か(2011年9月5日)
 宮城県北の東北本線ルート(再び)(2011年8月24日)
 宮城県北の東北本線ルート(2011年8月20日)
 仙台駅の予定地(その7)(10年9月6日)
 塩竈市内の仙石線と塩釜線の歴史(10年5月11日)
 仙台駅の位置について(その6)(09年10月21日)
 仙台駅の位置について(再び)(09年3月10日)
 仙台駅の位置について(その4)(07年8月16日)
 大河原の尾形安平 東北本線実現に尽力(07年1月5日)
 仙台駅の位置について・続々(06年7月15日)
 仙台駅のはなし・続(06年7月11日)
 仙台駅のはなし(06年7月10日)
 宮城県内の東北本線のルートの話(05年11月27日)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016.10.10 19:47:59
コメント(2) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


Re:新生富谷市はなぜ「駅なし鉄道なし」なのか(10/10)   hts さん
お久しぶりです。htsです。
さて今までの経緯はとりあえず置いておくとして問題は今後富谷市に鉄道が通る可能性があるかどうかですが…。

1.旧国鉄の流れを汲むJRが作る可能性はまずない。元々国鉄時代から国の大動脈を担当するのが役割であって毛細血管はやりたがらないのがJRの特徴。実際少しでもその気があるのならば仙台空港線はJRが作ってもおかしくなかったはず。
2.狭義の私鉄にあたる民鉄は宮城にはない。したがって民間側が作る可能性はほぼゼロと見ていい。
3.国も民間もダメならば自治体が作るという道だが、富谷市と仙台市という2つの市をまたぐことになる以上調停可能なのは宮城県しかない。しかし県とこの2市(特に仙台市)は余り仲が良くなかったりする。
(富谷市は黒川合併を破綻させたことで、仙台市はいわずもがな)
となれば県が協力する可能性もかなり低い…。
4.以上により将来にわたって富谷市に鉄道が作られる可能性は非常に低い。

こんなところでしょうか。
(2017.10.04 23:08:43)

Re[1]:新生富谷市はなぜ「駅なし鉄道なし」なのか(10/10)   おだずまジャーナル さん
htsさんへ
今回もありがとうございました。昔に比べると鉄道敷設のコストや配慮はかなりハードルが上がっていると思います。ご指摘の民鉄の歴史のなさは、仙台の1つの特徴とも思えます。土地開発や商業などだけでなく、経済界の中心や責任を担う鉄道事業者でもあれば、仙台も違っていたと思います。公共より私益の大商人町。言い過ぎましたか。 (2017.10.09 17:09:25)

PR

フリーページ

バックナンバー

日記/記事の投稿

カテゴリ

コメント新着

おだずまジャーナル@ Re:仙台「6時ジャスコ前」の今むかし(11/14) 仙台フォーラスは来月3月から長期休業。再…
クルック@ Re:黒石寺蘇民祭を考える(02/18) ん~とても担い手不足には見えませんけどネ…
おだずまジャーナル@ Re:小僧街道踏切(大崎市岩出山)(12/11) 1月15日のOH!バンデスで、不動水神社の小…

お気に入りブログ

【東京六大学2024春… ささやん0583さん

知事の気概(?) お太助さん

【望子成龍】-Wang Z… sendai1997さん
おいしいブログページ dnssさん
地方暮らしが変える1… かじけいこさん

プロフィール

おだずまジャーナル

おだずまジャーナル

サイド自由欄

071001ずっぱり特派員証

画像をクリックして下さい(ずっぱり岩手にリンク!)。

© Rakuten Group, Inc.