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ダックスの気まぐれ日記・コラム。  【楽天ブログ編】 東京の経理サポートのブログ

会社法から見る合同会社1

第1話 合同会社の設立

会社法において、会社の種類は大きく「株式会社」と「持分会社」に
分かれています。
従来、会社は教科書的な言い方をすると、経営と所有の分離した
物的会社として株式会社・有限会社があり、人的なつながりを
重視し経営と所有の一致した人的会社としての合名会社・合資
会社に分けられていました。
今回の新会社法では従来からあった有限会社を廃止し、人的会社
である合名会社、合資会社に加えて「合同会社(日本版LLC)」
ができ、これらをまとめて「持分会社」とよぶことになりました。

今までの人的会社では必ず無限責任を負う社員が必要とされていま
したが、これに有限責任社員だけの合同会社が加わったことにより
人的会社(持分会社)がぐっと身近になりました。

会社法では株式会社に対して第25条から第574条まで実に549条の
条文を設けています。これに対して持分会社に対しては第575条から
第675条までの100条しか規定がありません。
条文を読むと分かりますが多くの部分について定款に委任できる規定
になっており、株式会社に対して自由度が高い会社であることが
わかります。

では、合同会社を設立するにはどうすればいいのでしょうか。
事業計画を立てるといった実務的なことはさておき、まずは会社の
憲法である定款を作らなければなりません。


(定款の作成)
第五百七十五条 合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」
と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を
作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2 前項の定款は、電磁的記録をもって作成することができる。この場合
において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定め
る署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。


まずは、定款を作成することがスタートです。
それでは定款に記載する事項はどのように規定されているでしょうか。

(定款の記載又は記録事項)
第五百七十六条 持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、
又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 社員の氏名又は名称及び住所
五 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)
及びその価額又は評価の標準



4 設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第一項
第五号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を
記載し、又は記録しなければならない。

合同会社を設立するには最低限、上記の事項を定款に記載する必要が
あります。さらに、社員全員が有限責任社員である旨を定款に記載し
なければなりません。この規定をおくことによりその会社が有限責任
社員だけで構成される合同会社となります。


第五百七十七条 前条に規定するもののほか、持分会社の定款には、
この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項
及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は
記録することができる。


合同会社のような持分会社では、定款自治が徹底しているといわれて
います。定款に記載しなければいけない事項を絶対的記載事項といい
ますが、これ以外にも会社法条文において「定款において別段の定め
をする場合はこの限りではない」といった文言が随所に見られ自由度
の高いことが分かります。さらに第577条において法律の規定に違反
しない限り定款に記載できるとされています。
(これに関しては株式会社も同様の規定をおいています。)
定款を作った後は出資ですね。


(合同会社の設立時の出資の履行)
第五百七十八条 設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、
当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立
の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその
出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、
合同会社の社員になろうとする者全員の同意があるときは、登記、登録
その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、
合同会社の成立後にすることを妨げない。


合同会社では合名会社や合資会社で認められていた労務出資などは認めら
れていません。全額払込出資をすることにより有限責任社員となることが
できるのです。


(持分会社の成立)
第五百七十九条 持分会社は、その本店の所在地において設立の登記を
することによって成立する。


定款を作成しこれを法務局で登記することにより会社は成立します。
いかがでしょうか。株式会社に比べて非常にシンプルな会社設立に関する
規定です。その分、定款において自由に規定することが出来るといえるの
ではないでしょうか。



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