2005/09/22(木)09:14
相続・その4・・・ええっ!相続できないなんて!
(推定)相続人が相続人として資格を失ってしまう場面は2つあります。
第1に、相続開始前に、推定相続人がその意思に反して相続人としての資格を奪われる場合。
第2に、相続開始後に、相続人が自らの意思で相続人としての資格を放棄する場合。
です。
(1) 相続開始前の相続人の資格剥奪この場合も、更に2つに分けられます。
(イ)「相続欠格」・・・法律上当然に相続人でなくなります。
相続欠格とは、推定相続人が、相続する事が正義に反するような行為を行った場合のことです。
(例)
・被相続人や自分より先順位、若しくは同順位の相続人を殺害したり、殺そうとして刑に処せられた場合。
・ 詐欺や強迫によって、被相続人が遺言したり、取り消し・変更するのを妨げたりした場合。
・ 詐欺や強迫によって、被相続人に遺言させたり、取り消し・変更させたりした場合。
・ 遺言を偽造・変造・破棄・隠匿したりした場合。
〈判例〉・ 自分に有利な遺言を破棄した場合は欠格事由にあたらない。
・ 遺言の押印が欠けていたのを、補充した行為は偽造・変造にあたるが、遺言者の意思を実現させるために、その法形式を整える趣旨でされたに過ぎない時は、欠格事由にあたらない。
(ロ)「廃除」・・・・・被相続人が特定の相続人が相続する事を望まないで、且つ客観的にもそれがもっともであると判断される時。
・ 相続欠格ほどではないが、被相続人が相続させたくないと感じるような非行が相続人に有った場合。この場合は、被相続人は、家庭裁判所の審判または調停によって相続人の相続権を奪う事が出来ます。
(例)
・ 被相続人に重大な侮辱を加えた場合。
・ 推定相続人に著しい非行が有った場合。
(判例)
・ 一時の激情に駆られ侮辱的な言葉を述べても廃除事由にあたらない。
・ A男の妻BがC男と同棲しC男の子供を生んだ。・A男がBの廃除を申し立てた。
・(原審)廃除は認めない。相続権を奪いたければ離婚すればよい。
(高裁)たとえ、廃除の理由が離婚原因にあたるとしても、離婚を請求するか廃除を請求するかは配偶者の自由である。
次回は相続放棄についてお話します。
・・・つづく
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