やさしい法律・行政手続入門

2005/10/23(日)11:23

婚姻(6)・・・有責者からの婚姻費用分担請求

婚姻(16)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Q6.婚姻の破綻・別居が有責者からの責任で生じた場合、なお婚姻費用分担請求は可能でしょうか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ A6. 一.有責者からの請求 〈事例〉 ・A女とB男は、職場結婚をし、長女、次女が生まれた。 結婚後4年ほどして、Bが課長に昇進した頃から、深酒して深夜に帰ることが多くなった。 とうとう、大喧嘩してA女は実家へ帰ってしまった。 その後、一時縒りを戻したが、夫が躁鬱病と診断されてからは、A女は再び子供二人を連れて実家に戻ってしまった。 以後、夫の入院中・退院後も一切の交流を妻のほうが拒絶した。 その間Bのほうからは関係修復の努力が幾度かなされている。 別居後9年を経て、Bが再婚するため離婚訴訟を起こしたのに対し、Aは婚姻費用の分担請求をした。 認められるだろうか。 〈判例〉 有責とされる配偶者からの婚姻費用分担請求がなされた場合の処理に関しては、裁判例は分かれています。 ・東京高決昭和42年9月8日(家月20-4-16) ・婚姻費用分担の義務はない。 ・名古屋高金沢支決昭和59年2月13日8(判タ528-301) ・生活保護法による生活保護基準の範囲で認める。 ・東京高決昭和58年12月16日(家月337-3-69〔百選5〕) ・Aの生活費についての婚姻費用分担請求は「権利の濫用」として許されないが、同居の未成年の子の看護費用は請求しうる。 (考え方) ・夫婦が別居した時、その原因がどちらにあるかを、判断する事は非常に難しい事だといえます。 ・婚姻の破綻が「性格の不一致」等という曖昧な理由による場合は責任は両方にある場合が多いようです。この場合は、有責性を考慮せずに額を決める事が多いようです。 ・明らかに請求者のほうが有責だという場合は、請求を否定すべきだと考えられています。 次回は夫婦別産制について ・・・つづく

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