027038 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

本当に読みたい本・・・

本当に読みたい本・・・

真保 裕一

■■■ ★★★ 真保裕一 ★★★ ■■■
☆☆ 作者 紹介 ☆☆
1961年東京生まれ。
1991年、「連鎖」で第37回江戸川乱歩賞を受賞し、作家でビュー。
1996年「ホワイトアウト」で第17回吉川英治文学新人賞を受賞。

個人的な作家に対する書評・・・・

 とにかくワクワクさせてくれる作家のひとり。
次の展開が読めない。その分、話に引き込まれてしまう・・・。引きずり込まれるといった方が正しいかもしれない。
そして、登場人物が実に生き生きとしている。
感情移入して本を読み進める人には、特にお薦め。

 ページをめくる楽しさを思い出させてくれるような作者だと、私は思う。

【代表作】

           

『奪取』


普段は、自動販売機から小銭をちょろまかす冴えない若者、「手塚道郎」。
事は、友人がサラ金から金を借りた事から始まった・・・・。
借金返済のために、偽札作りに没頭していく・・・。
それも、ATMをだますという奇想天外な方法で・・・。

 ひとまず、ATMをだます事に成功した主人公達だったが、ヤクザがその手腕を見逃すはずは無く、全てを奪われてしまう・・・。
相棒は警察に捕まり、失意に暮れる道郎の前にひとりの爺さんが現れる。偽札作りに全てをかける彫り師だった・・・。

 ヤクザとのドンパチあり、果ては悪徳銀行員まで登場し・・・・・。

 あまり詳しく書くと、読んだ時に面白みがなくなるのでこの辺にしておこう。
とにかく、テンポが良く意外性があり、読んでいて飽きが来ない。来る気配が無い。
読み終ったとき、清清しい気分にさえなってくる。痛快な一冊である事は保障する。

興味が出た方は、ぜひ古本でも良いので、目を通して頂きたい。

ちなみに、この作品は97年度『このミステリーがすごい!』第2位になっている。
奪取(上)  奪取(下)
『取引』
主人公の職業が、公正取引委員会の審査官という所に引かれて読み始めた。
『脱談合宣言』を行っても、後を絶たない官製談合事件にメスを入れる本かと思いきや・・・・。

とにかくこの本には裏切られっぱなしだった・・・。
いや、裏切られたといっても、決して悪い意味ではない。
ことごとく僕の予想を外してくれた・・・。

事件が次々と起こるのではあるが、こいつが犯人だよね・・・。と気を抜くと・・・。

少しだけ見所を紹介。
友情と、談合の摘発の狭間で揺れ動き、自分を責め続ける主人公の、心の動きが絶品!
人間ドラマを見ているようだった・・・。


全く真保裕一さんにはいつも驚かされる。

『よくこんな事考え付くよね・・・。』が口癖になってもいい人はぜひ読んで欲しい。

えっ、そんな口癖は嫌だって・・・・。
でも口を出てしまうんだから、しょうがない。

こころゆくまで、意表をつかれてください。
取引
『黄金の島』


 非情になる事が出来ずに、ヤクザに徹する事が出来なかった主人公『坂口 修二』。
流されるままに日常を過ごす彼を、陥れる罠。罠のために日本を追われ、
辿りついた国『ベトナム』。

 そこには、夢を掴むことが出来る国『日本』に渡る日を夢見て、苦しい毎日を生き抜く
少年達がいた。共産党員の子供に生まれなければ、学校に行くこともままならず、
生き抜くためには、体を売るか、犯罪に手を染めるか・・・・。

 そんな現状を変えるべく、集団でシクロ乗りをして、夢を掴もうとする少年達と、『坂口』の運命が交わっていく。

 ベトナムからのボートピープルが日本に向かってやって来ていた、というニュースを思い出した。
常識では考えられない位の小さな船に乗り、黄金の島『日本』に、彼らは何を夢見て来ていたのだろうか?

 日本にたどり着けさえすれば、大金を得る事が出来ると信じて疑わない少年達に、
ヤクザである修二が叫んでいたシーンが印象的だった・・・。
今の日本は、本当に彼らが夢見るような『黄金の島』なのだろうか・・・。
確かに、経済大国と呼ばれ、物が溢れ、食べ物も溢れ、一見豊かな国に見える。
しかし、モラルは低下し、格差は拡大を続け、政治は汚職にまみれている。
そして、ただその日を楽しく過ごせればいいと、その事実から目を逸らして毎日を過ごしてはいないだろうか?

 日曜の公園でパフォーマンスを練習する人達と、ゴミ箱から食べ残しを漁るホームレスに挟まれながら、
この本を読んでいた時にふとそう思った・・・。

 読み終わった時には、きっと何かしら考えさせられる一冊。
 ぜひご一読を!!!
黄金の島(上) 黄金の島(下)
『誘拐の果実』


立て続けに起きた誘拐事件。
その誘拐された被害者が知り合いだった・・・。
そんな偶然が・・・。
そして、前代未聞の身代金の要求。
お金ではなく、犯人が要求したものは・・・。

犯人は誰?そして、目的は?

次々と判明していく、意外な事実。
警察は最後まで手玉に取られっぱなしだった・・・。

犯人の動機は一体?

全てが分かった時、当時捜査に当っていた2人の警官達は感嘆のため息を漏らす・・・。

この本を一言で表すと、「ワクワク感の塊」です。
さあページを捲って、あなたもわくわくして下さい。
『誘拐の果実』(上)  『誘拐の果実』(下)


© Rakuten Group, Inc.