あいうえお道場/職業訓練編

2006/07/05(水)22:53

映画『チョコレート』を観た

レビュー(134)

ずいぶん前に2本500円で購入したレンタル中古モノビデオ、しかも日本語吹き替え。ハル・ベリーはこの作品でオスカーの主演女優賞をとった。テーマが重たいドラマなんだろうという前知識くらい。家族が寝てしまったところで何気なく観たのだが、一人でよかった。R-18指定だとは観たあとで気づいたのだ。冒頭からファックシーンでびっくり。 若い男が売春婦を買って、立ちバックでやる。いきなり挿入してすぐ終わる。アメリカのあちらこちらで日々行われている光景なんだろうが、そんな空しい売春行為がフルコースの先付けとして、とても意味があって、後になって効いてくる。私は冒頭がなぜここから始まったのだろうかと、観ながら詮索するわけだが、フンフン、なるほど、そういうことか、と観るうちにわかってくる。 ハル・ベリーも濃厚なセックス演技を体当たりでやる。これが凄くよかった。ハリウッド映画のお話の中で挿入されるセックスシーンは、とってつけたような場合が多いが、この映画においては濡れ場がキモなのだ。性愛がテーマだといってよかろう。 黒人差別であるとか、死刑についてとか、高齢者介護等、掲げるテーマが多い映画である。それだけに重たく、私は己の人生とつい重ねてしまって苦しい気持ちもした。苦しいながらも途中で止めることができないという映画だ。 「みんなのレビュー」というサイトを確認すると点数が低いことに驚いた。確かにうまくいきすぎな展開ではある。セックスシーンの意味がわかりかねる人も多かった。セックスで愛が確固としたものとなる展開が理解しかねる人は、なぜ売春婦が出てきたのか、親子で同じ売春婦をご利用していることのおかしみは理解できないだろう。この映画はとてもスタンダードで映画の文法に忠実なのだ。だから私は安心してあの世界に身をゆだねることが出来た。ラストシーンについてはいくつかのヴァージョンを撮ったのだろうが、無難にあんなところに落ちついたのだろう。個人的には「ソフィーの選択」のような悲しい終わり方もアリだと思った。10点満点で8点。

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