小石川後楽園の2回目です。前回はこちら
ここで、庭園鑑賞の参考に、おもな景観について記します。
(※東京公園文庫#28 「小石川後楽園」を参照)
- ◆ 海の景観
- 大泉水とその周辺景観。
当庭園の主景観であり、庭門から入り、大泉水へ視野が開けるときの眺めに醍醐味があるが、正門が閉鎖されている現状では、順路の後半になっている。
- ◆ 河川の景観
- 西湖、渡月橋、大堰川、通天橋を結ぶ一帯の景観。
- ◆ 山中の景観
- 清水観音堂、小廬山、得仁堂、円月橋、愛宕坂、八卦堂、小町塚を結ぶ一帯の景観。
- ◆ 田園の景観
- 水田、菖蒲田、梅林、稲田、などの庭園北東部一帯の景観
園内マップ (財)東京都公園協会
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前回は、河川の景観ゾーンから山中の景観ゾーンの得仁堂までを紹介した。
今回はその続きであるが、前回説明を省略した清水観音堂から始める。 |
渡月橋を渡り、屏風岩の脇から山道に入り、通天橋を目指すと、大堰川を見渡せる琉球山の高台を過ぎて道は二手にわかれる。右手に下ると大堰川の沢渡を経て小廬山の上に出るコース等があるが、説明は次の機会にゆずる。清水観音堂へは左手の山道をさらに登ることになる。 |
清水観音堂跡へ |
清水観音堂復元図 |
清水観音堂は、京都の清水寺を模したものだが、大正12(1923)年の関東大震災で消失している。
ここからは、山中の景観の樹木越しに、河川の景観の大堰川が望める。各景観ゾーンの連携は見事です。 |
清水観音堂跡から大堰川 |
前回の最後(得仁堂)から円月橋への標準順路では、大泉水のほとりの丸屋へ下り、白糸の滝、松原を経由のコースになっていますが、ここでは山添に直接行くコースを採りました。 |
丸屋 |
円月橋 |
円月橋は、水面に映る形が満月のように見えることからつけられた名称。
明儒学者、朱舜水(しゅしゅんすい)による設計といわれて、得仁堂とともに当時の姿を留める貴重な建造物。 (※ 小石川後楽園パンフレットより) |
円月橋 |
円月橋から愛宕坂までは、樹木が鬱蒼と茂った中をいばらく進む。樹間から時折覗く高層ビルの影がなければ、深山の趣である。 |
愛宕坂へ |
神田上水跡の水門が、右下手に見える頃、道は一気に高みにあがり、愛宕坂の上部に出る。
愛宕坂は、京都愛宕山の坂に倣ってつくられたもので、四十七段の石段からなっている、とある。 |
愛宕坂へ |
愛宕坂 |
八卦堂跡は、愛宕坂の裏手に当たる。光國が文昌星(ぶんしょうせい)の像を安置したとされるが、関東大震災で消失している。
小町塚の立札には、「塚石が常陸の小野の産地であることから光國が戯れて小町塚と呼んだといわれる。」とある
※ 北斗七星の第一星を文昌星または魁星といい、. 中国では古くから学問や文章をつかさどる神と. してあがめられてきました。
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八卦堂跡 |
小町塚 |
次回は、梅林などの田園景観ゾーンになります。
山中の景観ゾーンの紹介が長くなりましたが、この部分が当庭園の特徴のひとつに挙げても良いのではないかと思っています。
主景観の大泉水周辺はよく行くが、この山中景観ゾーンはあまり馴染みがないという方は、是非一度じっくり鑑賞してみることをお勧めします。 |