木曜日の夜、なぜかまったく眠れなかった。
特別な理由は思い当たらない。
コーヒーを飲みすぎたわけでもないし、刺激的な出来事があったわけでもない。
それなのに、布団に入った途端に意識だけが妙に冴えてしまった。
目を閉じても眠気は来ない。
代わりに、普段思い出さないことばかり浮かんでくる。
昔の会話、些細な後悔、どうでもいい疑問。
「なんであの時ああ言ったんだろう」みたいな記憶が、夜になるとやけに鮮明になる。
時計を見るたびに時間は進んでいるのに、眠りだけが来ない。
寝返りを打って、布団の位置を直して、また目を閉じる。
それを何度も繰り返しているうちに、空気が朝に近づいていった。
結局、ちゃんと眠れないまま朝になった。
---
そして金曜日。
午前中は意外と平気だった。
寝不足特有の、変に保たれた覚醒感。
少しぼんやりしているのに、動けてしまうあの状態。
問題は昼だった。
突然、来た。
波というより、落下。
さっきまで普通だった意識が、一気に下へ引っ張られる。
文字を読んでも意味が残らない。
同じところを何度も見ているのに理解できない。
気づけば数秒間、思考が止まっている。
コーヒーも効かない。
集中しようとするほど、眠気が重くなる。
ああ、これは木曜日の夜の請求書だ、と理解する。
体はちゃんと覚えていて、きっちり取り立てに来るらしい。
---
夜に眠れず、昼に眠くなる。
当たり前の話なのに、当日は妙に理不尽に感じる。
今日は早く寝ようと思う。
きっと、眠れるかどうかは別として。